毎年のことだが、野球教室の取材に行くと、オフだなあとつくづく思う。キャンプ中にも行われるが、やはりオフは選手もリラックスしているように見える。その分、個性がより垣間見える気がして面白い。

8日は、群馬・前橋だった。県内から100人以上の小、中学生が集まった。

▼高橋光 投球を担当。地元だけあって、引率の監督や子どもたちから親しげに話し掛けられる。出身チームの後輩たちも参加。知った顔を見つけ、「昔、俺の家に泊まったよな?」なんて会話も。ローカル色満載で、ほほ笑ましかった。

▼山川 打撃を担当。実に丁寧。1人1人のスイングをじっくり見て、お手本を交えアドバイスした。「みんな知っていることですよ」と控えめだったが、記者も横で聞いていて、分かりやすい言葉に思わずうなずいた。将来は良いコーチになりそう。MVP選手に、子どもたちは直立不動だった。

▼中田 打撃を担当。山川の話した内容を補足するように、具体例を交えアドバイス。たとえば、ティー打撃で山川が始動を早くと教えたのに続けて「ボールがネットの下の方に行ってるだろ? 始動が遅くて差し込まれてるからだよ」。さすが、キャッチャー。フォローがうまい。

▼熊代 内野守備を担当。ムードメーカーぶりは、子ども相手にも健在だ。口で子どもたちを乗せる、乗せる。まずは会った瞬間「よう来たなあ~」と先制パンチ。ノックを見ながら「ええぞ、ええぞ」と声をかける。時間が来たら「みんな、ずっと熊代先生に習いたいやろうけど」なんて言って、お別れ。終始、子どもたちを笑顔にした。

▼高木渉 外野守備を担当。プロ1年目を終え、野球教室デビューした。実演を交え、一生懸命に教えていた。「良い経験になりました」。教える難しさを知ったのかも。

楽天を担当していた頃に聞いた話を思い出す。元コーチ、監督の大久保さんは解説者時代、岩手・普代村での野球教室で、やたらうまい子を見つけた。「君はプロになれるよ」と声をかけた。銀次だった。そのことは、銀次も覚えていた。その2人が、後に同じチームで戦った。もちろん、将来プロになるか、ならないかは二の次。ただ、野球教室には、そんな出会いも起こりえる。プロと直に接する時間。子どもにとって、なんと貴重なことだろう。【西武担当 古川真弥】