戦力外通告を受けたソフトバンクの育成南は報道陣の取材に応える(2014年10月5日撮影)
戦力外通告を受けたソフトバンクの育成南は報道陣の取材に応える(2014年10月5日撮影)

ヤフオクドームからの帰り道、商店街にある不動産会社の物件情報の隙間から懐かしい顔が見える。10年ドラフト3位で浦和学院からソフトバンクに入団した南貴樹さん(26)だ。スーツ姿で仕事をしている姿は格好いい。

米国人の父と日本人の母を両親にもつ。198センチの長身から角度ある直球で期待されたが、ケガなどで2軍戦の登板もないまま、4年で引退した。誰からも愛される人柄を生かし、今は新しい舞台で輝いている。

昨年退団した星野大地さん(25)、吉本祥二さん(25)は、東京・汐留のソフトバンク本社に勤務している。吉本さんは「難しいですよ」と業務に悪戦苦闘しながらも続けている。今オフ、わずか2年で戦力外となった育成内野手だった森山孔介さん(20)も同じく本社勤務となる。星野、吉本両氏が道を開いたと言える。

南さんたちのように、社会で立派に活躍している姿を見ると、当時取材していた側もうれしくなる。今季もソフトバンクから多くの退団者が出た。進路が「未定」のままの選手もいる。悩んでしっかり新しい道を選んでほしい。2年後、3年後でもいい。元気な姿でまた会いたい。【ソフトバンク担当 石橋隆雄】