今季最後の神宮での試合を終えて引き揚げる鳥谷(2019年8月25日撮影)
今季最後の神宮での試合を終えて引き揚げる鳥谷(2019年8月25日撮影)

阪神鳥谷敬内野手のある発言に注目が集まっている。8月25日の敵地ヤクルト戦を終えた直後、報道陣のいわゆる「ぶら下がり取材」に答えた際の言葉だ。

このゲームは虎ナインにとっては今季神宮最終戦。神宮のファンに向けて-。そんな質問に対して、淡々と「自分もこれが最後(の神宮)になるかもしれないので…」と返した。

えっ、最後!? あまりに意味深なコメントを巡り、虎党の皆さんの中でもさまざまな臆測が飛び交っているという。ただ、個人的には鳥谷から出てきたコメントとしては、特に驚くようなモノではない気がした。

今年の6月で38歳になった。特に今季は5年契約の最終年で出場機会が激減しているだけに、「最後」という言葉がよりリアルに聞こえるのは当然といえる。だが、もし昨季の神宮最終戦で同じ問いかけがあったとしても、同じようなニュアンスの言葉を返したのではないかと想像する。

鳥谷は以前から、それも不動の遊撃レギュラーだった時代から、一貫して言ってきた。「プロ野球選手は1年1年が勝負。まだ25歳だからクビにならないという世界でもない。必要とされなくなったら辞めないといけないっていうのは毎年のこと」だと。

今季は今まで以上に不退転の覚悟で突入するシーズンとして注目されてきた。一方でここ数年は特に、この1年がもし最後になっても後悔しないように、という決意を胸にハードなトレーニングを続けてきた。5年契約の途中だからまだ野球を続けられる、といった甘い考えは一切ないと表現してもいいほどだった。

だから、ヤクルト戦後のコメントを伝え聞いた時も、そこまで驚きはなかった。周囲の想像を絶するほどの危機感で準備を続けてきた背番号1からすれば、「最後になるかも」という感覚は、毎年持ち続けてきた「当たり前の感覚」に過ぎない。【07~13年、15~18年阪神担当、遊軍 佐井陽介】

ヤクルト戦の9回表阪神1死、遊撃へ内野安打を放つ鳥谷敬(2019年8月25日撮影)
ヤクルト戦の9回表阪神1死、遊撃へ内野安打を放つ鳥谷敬(2019年8月25日撮影)