早朝に10キロのランニングから1日が始まる。まだ肌寒い中で球場へ。練習の合間に食べる、地元弁当屋が作る「シャケ弁当」は絶品だ。そして仕事が終わればゴルフの打ちっぱなし。そのままサウナに直行し、ホテルに帰ってアニメを見ながら焼酎を飲む。そんなキャンプ生活もあっという間に10日間が過ぎた。

ソフトバンクの第1、2クールは「城島キャンプ」だった。今年就任した城島健司球団会長付特別アドバイザーがとにかく話題を振りまいた。お昼の段階で「この選手で書こう」とイメージしていても、その後の城島アドバイザーの動きや囲み取材で“逆転”が起こることも少なくなかった。見た目にも華があるし、コメントも1つ1つがおもしろい。トイレに行っただけで話題を独占するほど、城島アドバイザーから目の離せない期間になった。

取材しながら感じたのは、城島アドバイザーが意図的に報道をコントロールしていたのではないか、ということだ。「テレビや新聞に取り上げられるのはうれしいものなんですよ。記事で一喜一憂するし、その気にさせてもらうこともある。選手たちは、世間に顔と名前を覚えてもらえるように。主力の人たちはそういうところも意識していると思いますよ」。3年連続日本一の球団だが福岡のいわゆる地方球団。シーズン終盤は別として、特にキャンプの時期などは関東の人気球団などに話題を持って行かれがちだ。

城島アドバイザーは動きや自身の発言で、現役時代にともにプレーした和田や同じ捕手のポジションである甲斐、主軸打者として思いの重なる柳田らにスポットが当たるよう、報道陣を導いていた。結果的に、ソフトバンクの紙面での扱いはここ数年のキャンプでは最も大きかった。野球選手は見られてなんぼ。野球やメンタル面でのアドバイスを送りながら、選手たちに伝えたかったことを体現していたように見えた。【ソフトバンク担当=山本大地】