シーズンが終了した直後の10月上旬だった。川崎市内のジャイアンツ球場で、巨人増田大輝内野手(30)が早くも黙々と汗を流していた。シーズンの疲れを抜く時期。ファームで過ごす若手選手ばかりの中、黙々と練習していた。「なんか家でダラダラするのも、おもしろくなくて。野球が好きなんですかね。(休みは)半日ですかね」。シーズン最終戦の翌日となる10月5日から始動していた。
大きな武器である足。理想の走り方がある。「分かります? めっちゃ、きれいじゃないですか。ああいうイメージですね」。東京ドームの巨人戦前。センターの大型ビジョンには、ある選手の走る姿が映し出される。野球選手ではない。陸上男子100メートルで9秒95の日本記録を持つ山縣亮太(31=セイコー)だ。
「猫背なんすけど、わざと猫背にしてるわけではない。かといって、足を前につきすぎない。足を真下につくような形で前傾してる。もともと前に足を置いた方は進めるっていうイメージがあったのですけど、真下と逆に進まないっていうのをしっかり、やっぱ体に覚え込まさないと」
ユーチューブでも山縣ら陸上選手の映像を見て、体の使い方などのイメージを膨らませる。「自分に置き換えて。その走り方1つでも、どういう力加減なのか、どういうリラックス加減なのかとかを想像しながら見ちゃいますね」。いろんな角度から生かせることを探る。
今季は主に代走、守備固めを中心に33試合に出場。スペシャリストとして試合後半からの出番が多いが、譲れない思いもある。「試合にはやっぱり出たいですし、代走でも、いきなり代打でいけと言われても、もちろん全うしますよ。でも…これは、こだわりっていうか、やっぱりまだ引き下がりたくないのは、レギュラーを取れるようにやりたいっていうところですね」。9月18日ヤクルト戦ではプロ初のサヨナラ打も放った。育成契約で入団し、8年目。穏やかな瞳の奥で、闘志がメラメラとギラついている。【巨人担当=上田悠太】




