これがマイ侍ジャパン-。23年3月のWBC開催を控え、代表選出が迫っている。

日刊スポーツでは国際経験豊富な評論家が独自の視点から、いち早くメンバーを選考。第1回は06年WBCで世界一に輝いた宮本慎也氏(52)が日本の戦い方を説いた。

メンバー選考で難しいのが、メジャー組がどれぐらい参加してくれるかだろう。この時期に考えても結論は出ないので、WBCに出場してくれる可能性があると思える選手の中から、独断と偏見を入れて選んでみた。

宮本氏が選ぶ侍ジャパンのスタメン
宮本氏が選ぶ侍ジャパンのスタメン

当然だが、メジャーで実績を残しているダルビッシュや大谷は何が何でも入ってほしい選手で、来季メジャー2年目を迎える鈴木にしてもメジャー経験のない日本人選手と比べれば実績も実力も文句なし。この3人が出場できるかできないか、あるいはどれぐらいのコンディションで出場できるかが大きなカギを握ると思う。

短期決戦において重要なのは「戦い方」のビジョンをどう描くか。まず日本チームの最大の強みは「投手力」。投手の人選は1番に力のある球を持ち、ストライクゾーンで勝負できるピッチャーを優先した。

球数制限もあり、制球力は大事だが、それ以上に怖いのが「ホームラン」と「四球」。コントロールがよくても海外の球審のレベルが低く、ストライクゾーンが一定しなければ力は発揮しにくくなる。それならどんな球審でもど真ん中で長打を浴びないようなパワーピッチャーの方が有利。四球で自滅するようなピッチャーでなければ、計算できると思う。

【イラスト】宮本氏が選ぶWBC日本代表メンバー
【イラスト】宮本氏が選ぶWBC日本代表メンバー

次に「攻撃力」と「守備力」のバランスが大事。短期決戦だと「守備力」が重視されがちだが「どうしようもない」というレベルの選手はいない。だからスタメンは攻撃力を重視し、試合中盤以降で勝っていれば守備固めすればいい。

「守備重視」でスタメンを組むと、負けているときのリスクが大きくなる。代打などで攻撃重視のメンバーに組み替えても、逆転した後の守備力には不安が残る。逆転後に再び守備力の高い選手に入れ替えるほど、人数に余裕はない。

日本チームが誇る「機動力」は、あまり頼りにしすぎると危険。ボークの規定が甘く、機動力を前面に押し出すとけん制死のリスクが高くなる。ここ一番で盗塁が狙えるスペシャリストは必要だが、当てにしすぎるとかえって動けなくなり、失敗したときの雰囲気も悪くなってしまう。

WBCも5回目を迎え、メジャーでの認知度も高くなった。それだけにメジャーリーガーが参戦し、大会のレベルは確実に上がった。

それでも日本チームのレベルも上がっている。特にリリーバーと左投手は豊富になった。ひと昔前は先発をリリーフに回した方が良かったが、リリーフ専門のレベルが格段に上がっている。人材不足だった左腕も宮城、高橋奎など若い投手が台頭してきた。国際試合では左投手の活躍が目立つだけに心強く感じる。

【イラスト】侍ジャパンの今後の日程
【イラスト】侍ジャパンの今後の日程

優勝できる可能性は当初より格段に低くなったが、優勝を狙えるレベルには達している。どんな戦いになるにせよ、結果を度外視しても日本人らしさを前面に出し、日本の野球ファンが胸を張れるような戦いを期待している。(日刊スポーツ評論家)