ヤクルト対阪神 4回裏ヤクルト無死、山田哲は左越えにソロ本塁打を放ちつば九郎(右)の祝福を受ける(撮影・小沢裕)
ヤクルト対阪神 4回裏ヤクルト無死、山田哲は左越えにソロ本塁打を放ちつば九郎(右)の祝福を受ける(撮影・小沢裕)

ヤクルトはすごい。阪神が10-1と9点リードの4回裏、山田哲人が4号ソロを放って8点差になった。何といっても強力打線。神宮球場に足を運んだ燕党にすれば「よし」と思ったかもしれない。しかし5回表にガラリと選手を替えてしまう。

ベンチに下がったのは2番・青木宣親、3番・山田哲人、そして4番バレンティン。主力をそろって交代させた。16日松山での同4回戦に圧勝。神宮に移動しての17日は2点差を追いついて延長12回引き分け。疲れもあるし、点差もある。「きょうはこのぐらいにしといたるわ」。そんな感じか。

これを阪神が甲子園球場でやったらどうか。虎党は怒るだろう。「もう、あきらめたんかい!」。そんなヤジが飛ぶ。もちろん、こんな策を取れる場合もある。勝ちまくっていてチームに余裕があるときだ。「この選手も見てよ」。そういう風に若手を出すケースが考えられる。

それだけの余裕がヤクルトにあるのかどうかは知らない。だが首位を走る現在、先を見て戦っているのは間違いない。点差がつくとそれなりの策を取れる環境があるということだ。ファンを含めて。

阪神打線はよく打った。「貧打困っちゃう」なんてボードをファンから出される打線が暴れた。たまにはこんな試合もないと。岩田稔もよく投げた。今季初登板のベテランが打たれながら奮闘する姿には涙腺が緩みそうになった。

そんな快勝にケチをつけるわけではないが少し想像した。ヤクルトは今季初先発の2年目・大下佑馬とこれも若い2年目の松本直樹というバッテリー。ヤクルトは「うまくいけばラッキー」ぐらいの感じだったかもしれない。

もちろん、相手がどうでも打てるのは実力がある証拠。これは事実だ。打てない打者は誰が投げてきても打てない。問題は、その力をどんな投手相手でも発揮できるのか、ということだ。

「いい投手が来ました。打てません。二線級が来ました。はい、打ちます。そうじゃないでしょう、と。普段からいい投手を想定し、練習に取り組んでほしい」

これは前監督・金本知憲の言葉だ。具体的には17年9月20日巨人戦で菅野智之に完封されたとき虎番記者に囲まれて話した内容だ。相手のレベルが落ちると打ち、いいと打てない状況を指摘。相手エースを打つことにこだわった。

表現は違っても指揮官・矢野燿大の思いも同じだろう。巨人には前回の東京ドームで3連敗を喫した。さあ、平成最後の「伝統の一戦」。まずは菅野を打て。(敬称略)

ヤクルト対阪神 ヤクルトに勝利しタッチをかわす岩田(右)ら阪神ナイン(撮影・横山健太)
ヤクルト対阪神 ヤクルトに勝利しタッチをかわす岩田(右)ら阪神ナイン(撮影・横山健太)