「阪神は好きじゃない」。日本ハムの新指揮官・新庄剛志はそう言う。過去にいろいろなところで結構、口にしているし、直接、聞いたこともある。
人気が出始めた若い頃、目立つ行動がメディアで報じられ、球団幹部から老舗球団ならではの“堅苦しい注意”を受けたことなどが要因だ。だが阪神時代の同僚は大事にしている。
「新庄が球界に復帰するのは自分が手伝ったようなものかも」。そう笑うのは宮脇則昭だ。現在の肩書は阪神球団本部次長など。新庄の2年先輩でフロントとして長年、頑張っている。新庄と同じ福岡の出身で当時から仲がいい。
「3年前、突然、バリにいた新庄から電話がかかってきて。“のりだー、オレ、また野球やりたくなったよ。メーカーに言って道具、送ってもらって”と言うんですよ」
先輩を愛称で呼ぶのも新庄らしいが、宮脇は「分かった」とグラブ、スパイク、そして中古の野球ボール120個を届けたという。そこから新庄は練習を開始し、トライアウトに挑戦、そして日本ハム監督に就任するという流れだ。
そんな新庄率いる日本ハムと阪神が8日、宜野座で対戦する。言うまでもなく今春の新庄日本ハムの注目度は群を抜く。今季限りでの退任を発表した指揮官・矢野燿大率いる阪神のキャンプはおとなしく、まあまあ、対照的だ。
もちろん野球は結果、中身の勝負だ。それでもプロである以上、注目度で負けているのはなんだか悔しいような感じもする。
「新庄監督の前やから選手もやるぞってオレはないと思うけど。どういう空気感になるのかなっていうのは楽しみにしているけど」。虎番キャップたちの取材にこの日、矢野はそう話したようだ。
冷静なのはいいけれど個人的には「新庄かあ。やったるで!」ぐらいは言ってほしかった気もする。三輪バイクやキックボードで登場する必要はないが、例えばナイン全員が新庄お得意の真っ赤なリストバンドを付けるとか。外野手がジャンプして捕球する例のポーズをマネするとか。その上で抑えたり、安打を打ったりと試合の結果を出せば面白いと思う。
「新庄先輩。オレたちも負けてませんよ」。そんな様子、気配を打ち出せば新庄にしても「阪神、面白いじゃん」となるかもしれないのだ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




