2年ぶりの甲子園を狙う常葉学園菊川が、第3シードの藤枝明誠を下し、3回戦に駒を進めた。3番中林流星(3年)が4打数3安打6打点と爆発。3回に逆転の中越え3点本塁打を放ち、4番栗原健(2年)との2者連続アーチを呼び込むと、6回にもダメ押しの中前2点適時打を放ちチームを快勝に導いた。

 常葉菊川が1点を追う3回。ナインはもちろん、ベンチ、応援スタンドの熱気が最高潮に達した。相手投手の失策も絡み、1死一、二塁の好機で3番中林に打席が回る。カウント2-1からの4球目を強振。真ん中低めの直球を強打すると、白球は草薙球場のセンターバックスクリーンに消えた。

 「練習でも打ったことのない打球だった。夏は何が起きるかわからない」。中林自身も驚く通算16本目となる逆転の1発で、試合の流れが変わった。続く4番栗原も「中林さんが打ってくれたことで自分もいけると思った」と、変化球を右翼席に運んだ。6回には2死満塁から、再び中林が中前へ2点適時打。藤枝明誠にトドメを刺した。

 中林の昨夏は出場3試合で、放ったヒットは内野安打の1本だけ。1回戦も1打点と、13安打15得点で好発進したチームとは対照的にバットは湿り気味だった。この日は一転、4打数3安打で自己最高の1試合6打点と止まらなかった。

 中1日で迎える3回戦は掛川西と対戦する。毎日約1時間半の自主練習では全て打撃に時間を費やし、最後の夏に備えてきた。中林は「この夏にすべてをかけてきた。ここで満足はできない」。「フルスイング」打線に欠かせない男が、梅雨明けと同時に調子を上げてきた。【前田和哉】