最速163キロ右腕・佐々木朗希投手(3年)を擁する大船渡(岩手)の公式戦初戦に向け、会場では入念に準備が進められている。

3日午前9時、春季岩手県大会沿岸南地区予選での大船渡の初戦(2回戦)が、釜石市・平田(へいた)運動公園野球場で行われる。球場を管理する同市体育協会・下村恵寿事務局長(69)は「3000人の来場(実際の収容人数は約1000人)を想定しています。ただ、想像がつきません」と話す。その上で「前夜は球場の入り口を施錠します。初めてのことです」と明言した。

日程発表後、体育協会には1日10件以上の問い合わせが相次いだ。その中で一部マスコミから「取材場所の優先予約はできますか? 夜にテントは張れますか?」との電話質問があったという。「球場は公共の場ですし、周辺には私有地もある。テントはダメですと伝えました」。念のため、夜間施錠も決めた。

テント泊や車中泊は、危険性もはらむ。霧が多く発生する山あいで、気温も低下しやすい。また、市産業振興部によると、4月は釜石市内で約10件のツキノワグマ目撃情報があったという。「クマは一般的に人の気配のある場所には来ません。球場周辺は仮設住宅も多いので」と市担当者は話すものの、野生動物の夜の動きは露見しにくく「万が一」もありうる。事実、昨年は平田地区でも目撃情報がある。シカとの接触も大事故につながりやすい。

下村氏は「朗希君や大船渡高校が注目されていますが、私たちとしてはあくまでも高校野球の1大会として(準備などに)取り組もうと決めています。ただ、何が起きるか分からない不安もあります。なんとか無事に」と願う。下村氏らスタッフは2日も、1回戦3試合の仕事と並行し、駐車場のライン引きなど翌日準備に精を尽くす構えだ。