球児たちの特別な夏が、幕を開けた。甲子園出場経験校対決は、静岡市立が2-1で常葉大橘を退けた。1点を追う6回に6番中島正治内野手(3年)が、逆転の2点二塁打。先発した望月大星投手(3年)の力投に応えた。名門・浜松商は、浜松市立に12-5で快勝し、初戦突破。熱海・金谷・佐久間の3校連合は、昨夏準優勝の駿河総合に0-13で5回コールド負け。走者を1人も出せず、完敗した。この日は、1回戦22試合中5試合が雨のため中止。12日に順延された。

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調子の良さを買われて、静岡市立の6番に打順を上げた中島が、値千金の決勝打を放った。0-1の6回表2死一、二塁。甘い直球を捉え、右中間へ決勝逆転2点適時二塁打。「真っすぐだけを狙っていた。良いところへ落ちてくれた」と白い歯を見せた。それまでの2打席は直球を打ち上げ、凡退。「上からたたくことを意識した」。3度目の打席で見事に攻略した。

大会前は8、9番を打っていたが、5日の練習試合(対浜松湖北)で適時打を放つなど、好調ぶりをアピール。試合の行方を左右する場面で、期待に応えてみせた。安井信太郎監督(56)は「しぶとい打撃ができる子。すばらしかった」と目を細めた。

エース望月は、2安打1失点完投。新型コロナウイルスの影響による活動休止中に、上手から横手投げにフォームを変更した。「しっかりと指にボールがかかるようになった。制球も良くなり、球速も上がった」。最速132キロの直球を内外角に散らし、相手打線を手玉に取った。

初戦で強敵を破り、中島は「勢いに乗れると思う」と実感を込めた。18日の2回戦は伊東商と対戦。2001年(平13)以来、19年ぶりの夏の県王者に向けて、視界は良好だ。【古地真隆】