<高校野球宮城大会:仙台育英7-1仙台一>◇30日◇準決勝◇石巻市民球場

試合の裏に、高校野球ならではのドラマがあります。「心の栄冠」と題し、随時紹介します。

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仙台育英(宮城)は大会通じて40人の3年生全員が出場を果たし「4連覇」に王手をかけた。仙台一との準決勝で7-1と快勝。40人目に登場したのは6回から3番手登板した右腕・杉山歩海投手(3年)だった。2回1安打4奪三振無失点の好投に「自分の良さは変化球。スライダーをテンポ良く投げられた。ここまで勝ち上がってくれた仲間に感謝ですし、みんなの思いも背負えた」。プロ野球西武などで活躍し、アンパンマンの愛称で新人王も獲得した父賢人さん(51=現西武投手コーチ)とは違う細身の体だが、愛らしい瞳のイケメンは父譲りだ。

昨秋は東北大会でも2試合に登板したが、今冬に球速アップを図ったことが逆効果だった。最速は128キロから139キロまで伸びたが、投球フォームのバランスを崩した。センバツメンバー18人から落選。夏の甲子園も中止。父からの「甲子園だけが高校野球ではない。大学に行っても野球を続けるのだから、仲間と高め合うことが重要」の言葉に励まされ、独自大会のマウンドで修正した力を披露した。

須江航監督(37)も「こんなに楽しい夏はない。全員のうれしさ、悔しさ、成長が見られる」。8月1日の決勝では厳選20人の“3年生代表”が発表される。【鎌田直秀】