福岡大会は4日、各地で2回戦が行われた。公立進学校の春日は、浮羽究真館に10ー2の7回コールド勝ちで初戦を突破。プロ注目で最速139キロ左腕、飯田泰成投手(3年)が2失点完投で勝利に貢献した。6回には中押しの右翼越えソロで投打に活躍。エース兼主将の柱が、初の甲子園出場へチームを引っ張る。

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春日のプロ注目左腕、飯田が完投発進だ。初回に失策が絡んで2点を失ったが、「焦りはありませんでした」。公立進学校のエースは、冷静に頭を切り替えた。2回以降は90キロ台のカーブやチェンジアップで緩急をつけ、凡打の山を築いた。「直球で押すことはできたけど、今日は終盤にとらえられるかなと」。最速は139キロだが、勝利を優先した。7回4安打2失点で初戦突破に導いた。

投球リリースの前に右手を高く突き上げ、左腕を振る。出所の見にくいフォームが持ち味だ。そんな独特な投球スタイルは、故障をきっかけに生まれた。「小学校の時に(左)肘を壊して、フォームが縮こまってしまった。高校に入り『体全身を使って投げていくようにしよう』と父に教えてもらいました」。父の信吾さんは福岡・北九州市にある私立高校、星琳の野球部監督。“恩師”のアドバイスで、ダイナミックな投球フォームを確立した。

この日は父がマウンドから真正面のスタンドにどっしりと座っていた。左腕は「バックネット裏にあんなに堂々といられたら緊張してしまいます。大きいので気づきました。『あぁ、いるなぁ』と思いながら」。照れ笑いを浮かべながらも声援に感謝し、試合後は「おめでとう」とねぎらいを受けていた。

打っては6回に右翼越えの中押しソロ。「完璧でした」と自画自賛した。近年では19年に8強、21年に16強と強豪の仲間入り。学業でも京大や地元の国立、九大に多数輩出する秀才軍団だ。「文系ですが、得意な科目は数学です」。勤勉なエース兼主将が、初の甲子園出場へ導く。【只松憲】

◆飯田泰成(いいだ・たいせい)2005年(平17)1月6日生まれ、福岡市出身。高木小1年から「宮竹少年野球クラブ」で野球を始める。宮竹中では軟式野球部に所属し、ピッチャーを始める。春日では独自大会だった1年夏からベンチ入り。昨夏から背番号「1」。目標の投手は米ブルージェイズの菊池雄星。180センチ、80キロ。左投げ左打ち。