<高校野球大阪大会:山田7-3箕面自由学園>◇10日◇1回戦◇万博記念公園野球場

高校野球には勝者にも敗者にもドラマがある。日刊スポーツでは今夏、随時連載「BIG LOSER」で敗れし者の隠れたストーリーにスポットをあてる。

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3年生の“卒業”の言葉を聞くうちに、箕面自由学園(大阪)の山田幸恵監督(26)の目から涙があふれた。20年4月、教員と新入生でともに学校の門をくぐった。“同期生”と最後の試合を終え「寂しいです。もっとしてあげられたな、と思うんで」と声を詰まらせた。

東女体大では外野手。野球経験を生かし「監督から言われたからやる、ではなくて、提案もしてほしい。やらされるじゃなくて、自分たちがやりたくなる野球をやる」と、自由な発想の大切さを伝えてきた。練習方法、適材適所の起用に選手の考えを生かしてきた。山田との今夏初戦でも成果は表れていた。20年秋の府大会3位決定戦で履正社を破った相手を向こうに回し、8回裏にダメを押されるまで接戦に持ち込んだ。

降雨後のグラウンドで悪送球のミスは出たが、山田監督は「今までと比べても一番いい守備をしてくれたかなと思います」と目を細めた。就任1、2年目の夏はコールドで初戦敗退。3年目で初めて9回まで試合をした。「最後まであきらめずに勝とうという姿勢を見られました」。

甲子園につながる秋、夏の勝利を目指す道のりで、不可欠なのは相互理解。「こっちが受け身だと、本音は話してくれない。こっちから冗談を交えながら絡みにいく感じの方がお互い話しやすい。3年やって、やっと分かってきたかな。5年くらいしたら恋愛話くらいできるようになったらいいかな」。高校生メンズと恋バナができる関係性も築きながら、山田監督はノックバットを振る。【堀まどか】