<高校野球東東京大会:芝16-1駒場>◇13日◇2回戦◇駒沢球場

高校野球のドラマは、勝った者にだけ生まれているわけではない。日刊スポーツでは今夏、随時連載「君がらんまん」で、勝者だけでなく敗者にもスポットを当てた物語をお届けする。

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駒場の試合前、ノックバットを握ったのは背番号3の森田太一主将(3年)だった。ノックを打てる指導者がいないため、打撃練習のほかにノックの練習も重ねてきた。「フライを打つ練習はしたことがなかったので、最初は難しかったです」。

指導者不在を、乗り越えてきた。今年4月に最上谷(もがみや)明信先生(43)が赴任。当初は部長(責任教師)の予定だったが、選手で話し合い監督就任をお願いした。

最上谷監督の野球経験は、軟式の少年野球のみ。それでも「3年生に、やりきってほしかった。最後まで野球をさせてあげたかったです」と受け入れた。今大会の2週間前には、1試合だけだったが練習試合も組めた。ベンチから大きな声を出し、選手たちを鼓舞した。

コールド負けで初戦敗退となったが、森田主将は「4月に初めて最上谷先生に会って、それから声を出してくれた。チームが1つにまとまったと思う。いい雰囲気で試合に臨めました」。同監督は「全力を出してくれました」と選手たちをたたえた。一緒に夏を目指した3カ月間は、一生の宝物だ。【保坂恭子】