<高校野球千葉大会:柏日体7-0習志野>◇22日◇準々決勝◇QVCマリン

 シャイな南国ボーイが、学校の歴史を塗り替えた。6点リードの7回裏1死満塁。柏日体・近藤スルヤ秀光投手(3年)の打球は、大きな弧を描いて右翼手のグラブに吸い込まれた。三塁走者生還、コールド成立。満塁策を取った昨夏甲子園8強の強豪・習志野に引導を渡し、初の4強入りを決めた。

 しかし近藤、なぜか大金星にも笑わない。「投げる方でフォームを崩しましたし。抑えはしましたけど。内容が悪かったです」。低めのトーンでとつとつと反省を並べる。目線は常に斜め下だ。実際投球はピンチもあったが、結果2回を無安打に抑えているのに。

 くっきりした顔立ちから想像しにくいシャイな性格は、幼少期から変わらない。インドネシア人の母を持ち、自身も現地で生まれた。父の海外転勤で中国にも3年在住。小4の時、日本で野球を始めたが「あいつ日本人じゃないぞ」と言われるのがイヤで、帽子で顔を隠していた。

 そのまま高校生になったものだから、1年で背番号をもらっても「自分にできるか不安」「学校背負ってるし」…。1人で重圧を感じ、大事な場面で信用されず昨年はメンバー外。「さすがに悔しかったです」。大好きな中日吉見を手本に制球重視の投球を心掛け、エースナンバーで戻ってきた。そしてこの快進撃だ。

 ちなみに「スルヤ」とは、インドネシアの言葉で「太陽」の意味。「次の試合は力まないで臨みたいです。あ、中国でも日本語学校だったので、日本語しかしゃべれません」。ギャップが魅力のニューヒーロー。南国生まれの太陽の、明るい笑顔は次におあずけだ。【鎌田良美】