<高校野球埼玉大会:浦和学院4-0聖望学園>◇28日◇決勝◇県営大宮公園野球場

 浦和学院・佐藤拓也投手(3年)が最後の打者を投ゴロに打ち取ると、歓喜の輪が広がった。4年ぶり11度目となる夏の甲子園が決まった瞬間だった。

 初回に1点を先制するも、追加点を取れず苦しんだ。1-0のまま迎えた7回表の攻撃前、森士(おさむ)監督(48)はあえて選手を突き放した。「監督を超えてみろ」。サインに頼るのではなく、自分たちで状況を打破しろ。そういうメッセージだった。選手たちは円陣を組み「思い切ってやろうぜ」と大声を出した。試合を決める3点を奪ったのは、この回だった。

 森監督は大会前「ここ数年で記憶にないくらい選手を鍛え抜いた」と口にしていた。センバツ8強も、春の県大会後から猛練習を積んだ。夏は2年連続で準決勝敗退。そこからの1歩を踏み出すためだった。早朝と放課後の練習前に8キロのマラソン。1日6食を取るなど、体づくりに取り組んだ。

 授業の合間にも食事を取った。森監督が自ら、めんたいこやチーズの入ったおにぎりを握って振る舞った。「食え食えって言いながら食べ終わるまで見届けるんですよ。夏に向けて食わして走らせてってね」。動けなくなるまで走り、食事が喉を通らなくなる選手もいた。白米だけで1日3キロ以上を食べたこともあるエース佐藤は「苦しいときがあったから、自信を持って戦えた」と振り返った。

 甲子園の目標はもちろん優勝だ。「夏は体力と精神力の勝負。僕たちが埼玉に初めての優勝旗を持って帰る」と佐藤は決意を新たにした。鍛え抜かれ、一皮むけた選手たちはまだまだ強くなる。【松田直樹】

 ◆浦和学院

 1978年(昭53)に創立の私立校。野球部は79年に創部で、部員は72人。全校生徒2389人(女子1100人)。甲子園は春8度、夏は11度目。主なOBは清水崇行(巨人コーチ)木塚敦志(DeNAコーチ)大竹寛(広島)ら。所在地は埼玉県さいたま市緑区代山172。小沢友紀雄校長。◆Vへの足跡◆2回戦6-0小鹿野3回戦10-0入間向陽4回戦11-0与野5回戦7-0武南準々決勝2-1花咲徳栄準決勝2-1県川口決勝4-0聖望学園