<高校野球南北海道大会>◇25日◇準決勝

 13年ぶり王手!

 夏7度の甲子園出場を誇る函館大有斗が、昨年覇者の札幌一を下し、前回甲子園出場の97年以来の決勝進出を果たした。2本塁打を含む3試合連続2ケタ安打で15-5の6回コールド勝ち。「函館から甲子園」を合言葉に、古豪復活の夢舞台を目指す。

 函館の潮風のように、打球を乗せ、函館大有斗の夢も乗せた。逆転した直後の4回2死満塁。6番野村の打球は、追い風に乗って中堅に飛び込んだ。南大会3本目の満塁弾。「つなげようと思って無心で打った。4点先制されても全然変な空気にならなかった」。コールド圧勝に胸を張った。

 序盤は劣勢だった。昨夏V札幌一のソツない攻撃で3回まで4失点。流れを一変させたのは1番増川だった。3回裏無死一塁。バントも考えられたが「勝負をかけた」と片口伸之監督(30)。盗塁を仕掛けてからの強攻で、今夏自身2本目となる追撃弾だった。「手ごたえ十分」。チームは息を吹き返した。

 4回には3番渡部の走者一掃の右中間二塁打で逆転に成功。その打席まで南大会11打数2安打と低調だったが「どこかで爆発したいと思っていた。汚い安打でも思い切りスイングしようと思っていた」。2年生野村、増川の2発に3年生渡部の6打点。増川は「3年生の雰囲気作りが浸透してチームワークで勝っていけてる」と感謝した。

 昨秋の新チーム発足から、風通しを良くすることを重んじた。春夏計13度の甲子園出場の伝統校で、かつては厳しい上下関係もあったが、なるべく排除。渡部は「2年がちょっかいかけてくる」と苦笑い。花田主将は「オレら1年のころから仲のいいチームを目指したいなと思っていた。2年生が失策の3年生を“いじる”こともある」と笑い飛ばした。

 今回の札幌の宿舎では、守備位置ごとに部屋割りされ2、3年生の相部屋もあるが、それも全員野球の表れだ。当時2年生で97年南大会優勝メンバーだった片口監督は「函館から甲子園を合言葉に選手たちとやってきた。積もり積もったものを全部出して帰りますよ」。空白の13年間の思いをぶつける。【村上秀明】