開幕ローテ、まさか、じゃない! 中日山本昌投手(49)が25日、2軍読谷キャンプで初めてシート打撃に登板。打者7人に1安打と上々の仕上がりだ。32年目のキャンプは今日26日に打ち上げ。アクシデントなしでの完走は確実で、自ら「及第点」の評価をつけた。プラン通り、開幕ローテ入りへの階段を踏み外すことなく名古屋に戻ることになる。

 ついに50歳の区切りのシーズンを迎えた男には何かがついている。澄みわたる晴天を見上げ「晴れ男だね。今日もBP(打撃投手)のときもよく晴れてさ。本当にありがたいよ」と笑った。初シート打撃のこの日、滞在26日目で最高の気温23度。すべての風が球界のレジェンドに吹いているようにも思えてくる。

 貫禄が違った。先頭赤坂に中前打されたが、続く昨季の4番平田には90キロ台のカーブから速球を2球続け、左飛に打ち取った。速球は最速130キロ。平田に対しては120キロ台後半だったが、平田は「球速はないけど感じるスピードが速い。コントロールとキレがすごい」と証言した。

 直球12球、カーブ2球、スクリュー4球の計18球で7人を片付けた。想定より少ない球数で終わったが「あれ以上投げるとボロが出るから」と笑わせた。捕手の後方で見ていた佐藤チーフ投手コーチは「昨年の今より数段いい。これくらいの時期に130キロ出ていればいつもの134~5キロは十分出る」と評した。

 大げさでなく、開幕が見えた。「なんとか追いついて、最低限やれている。思った通りにきている。これからギリギリせっぱ詰まってやれば何とか開幕に100%になるかという状態。開幕からいくつもりでやっていきます」と断言した。3月3日か4日の教育リーグ・ソフトバンク戦(ナゴヤ)で2回を予定。その後、先発で3回を投げてから、1軍首脳陣の視察を受けるプランを描く。

 6日の初ブルペンからキャンプの総投球数は1000球を超えた。1回120球を数えたことも。目標の1200球にはわずかに届きそうにないが納得の1カ月だった。「及第点の一番下かな、70~80点か、75点くらい。そこそこ満足」。体調万全でのキャンプ完走が確実になった。阪神と京セラドーム大阪で戦う開幕日は1カ月後。熱戦展開中のローテ争いのリングに、49歳の怪物がのしのしと上がってきた。【柏原誠】

<山本昌近年のキャンプ>

 ◆14年(2軍)27連勤で完走したが実は尿管結石を抱えており、全体を通じて体調が悪かった。

 ◆13年(1軍)胃腸炎で2月20日から2日休んだが全体的には順調。同26日のシート打撃で好投。

 ◆12年(1軍)2年ぶり1軍。序盤からブルペンで投げ込むなど順調。

 ◆11年(2軍)2月3日、バント処理練習中に右足首を痛めリタイア。キャンプ中は全力ダッシュを再開できなかった。

 ◆10年(1軍)順調に進んでいたが終盤に左肩甲骨付近の違和感を発症。名古屋に戻って2軍落ち。