復調のマルチだ。広島堂林翔太内野手(24)が練習試合西武戦(南郷)で2安打1打点と結果を出した。秋季キャンプではバットを胸の前で構える新フォームに変え、懐の深い打撃を目指している。シーズン終了後初の対外試合で結果を残し、緒方孝市監督(46)も高評価。出場33試合に終わった今季の悔しさを胸に、レギュラー獲得を目指す。

 最短距離でバットが出た。打球は低く、鋭く、左中間を割った。4回1死一塁。1ボールからの2球目だった。西武佐藤の内角のボールに反応した。一塁走者が生還し、堂林も二塁に到達。フットガードを外す表情は明るかった。

 「長打になったのはよかったです。ユニホームの違う相手から打てたのは自信になります」

 6回の第2打席でも左前へ運んだ。「ポップフライになるのと、ライナーになるのとで全然違う。高めの真っすぐに、かぶせていけました。自信にしたいです」。シーズン終了後初の対外試合で4打数2安打1打点。変化を感じさせる打球の質に、緒方監督も「いい形で打てていた。自信にしてほしいね」と評価した。

 天性の長打力を持つ男も、ここ数年は確率を意識し過ぎた部分もあってか、小さくまとまってしまっていた。バットを胸の前で構えるのは「懐を広く持ちたいのと、大きく構えたい」という意識から。石井打撃コーチとも相談し、堂々として余裕のあるフォームで試してみることになった。

 もちろん打撃改造はすぐに成果につながるものではない。石井打撃コーチも「すぐに出来るものではないけど、実戦で結果が出れば彼の自信になるでしょう」。ただ右の長距離は現状新井とエルドレッドしかいないだけに、堂林の成長は誰もが期待するところだ。ふがいないシーズンとはさようなら。堂林は迷いを捨て、大きく構えている。