昨春センバツ優勝右腕の東洋大・村上頌樹投手(1年=智弁学園)が、リーグ戦初完封初勝利を収めた。専大を5安打に封じて三塁を踏ませず、チームは連勝で勝ち点2とした。専大は開幕8連敗(1分けを挟む)で2季連続の最下位が決定。

 最後までマウンドを守るのは久々の感覚だった。村上は高橋昭雄監督(68)が「おめでとう!」と、差し出した手を握り返し「やっとチームに貢献するピッチングができました」と笑みをこぼした。デビューから登板4戦目。ルーキーながら専大打線を5安打無失点に抑え込み、初勝利を完封で飾った。

 チェンジアップで的を散らした。初先発した4月19日の亜大戦は最速148キロのパワーで押したが、3失点で2回持たず。高校時代の武器が、大学生に通用しない。攻め方を変えた。投げ急がない。「7~8割くらい」の力で、丁寧に低めをつく。直球に頼り切らず、緩急で7三振を奪った。

 時に開き直りは奏功する。全国制覇した昨春のセンバツも、夏も、甲子園は7試合全戦完投だった。でも「大学に入ってズタズタに打たれた。もう挑んでいくしかないなって」。日本一のプライドは捨てた。先発起用に感謝し「1年生らしく元気にやろう」。最高の結果につながった。

 甲子園優勝投手の1年春完封は、東都では11年春の中大・島袋洋奨(現ソフトバンク)以来。チームは首位国学院大戦を前に勝ち点2とし、優勝の可能性を残す。高橋監督は「ちょっと心配だったけど完封しちゃうんだから、助かりましたよ」。目尻が下がりっぱなしだった。【鎌田良美】