前阪神で台湾プロ野球の中信兄弟でプレーする林威助外野手(38)が、今季限りで現役引退することが25日、分かった。左打ちの長距離砲として活躍してきたが今季は若返りを図るチーム方針もあって1軍で7試合出場にとどまる。年齢的に満足プレーできる環境ではなく引き際を決断した。

 球団には引退試合を打診されたが、1軍がプレーオフ進出の可能性を残しているため辞退した。今日26日から高雄・澄清湖で始まる富邦との2軍の優勝決定シリーズ(最大5戦)が、プロ15年間の花道になる。

 台湾生まれの林はスイングの速さが武器のスラッガーとして名をはせ、02年に阪神入りした。開花したのは07年。自己最多の115試合出場。不動の4番金本の前後を打ち、3番で25戦、5番で44戦に先発。15本塁打を放ち、主軸で活躍した。

 同年8月に右肩痛で離脱し手術した後は不振に陥った。13年限りで戦力外となると母国でプレー。今季は開幕を2軍で迎え、出番は激減。2軍では打率4割1分1厘で健在ぶりを示してきたが厳しい立場だった。

 誰よりもファンに愛される男だ。23日は、台湾・屏東で2軍の公式戦最終戦となる富邦戦に6回の左翼守備から途中出場。7回の二ゴロが最終打席になった。球場には引退を予期した虎党が日本から訪れ、阪神時代の応援歌を歌う。涙を流すファンもいた。座右の銘「一球撃命」そのままに歩む野球道。今後は指導者を志し、新たな1歩を刻む。

 ◆林威助(リン・ウェイツゥ)1979年1月22日、台湾・台中市生まれ。高校2年時に福岡・柳川に野球留学。近大をへて02年ドラフト7巡目で阪神に入団。454試合、打率2割6分4厘、31本塁打、125打点。04年アテネ五輪、06、09年WBCの台湾代表。14年から台湾プロ野球の中信兄弟でプレーする。179センチ、82キロ。左投げ左打ち。