日本ハムが16日、オリックス12回戦(京セラドーム大阪)に快勝し、後半戦は幸先のいいスタートを切った。勝利の立役者はプロ5年目の石川亮捕手(22)だ。4回に自身3年ぶりの打点となる適時二塁打を放ち、守備では先発有原を好リードして、今季初完投勝利に導いた。昨季は右肩痛も影響して1軍出場ゼロ。雌伏の時を過ごして成長した期待の成長株の活躍で、チームは今季5度目の4連勝&同最多の貯金11となった。
最後まで、マスクの下の眼光は鋭かった。最終9回2死一、三塁。石川亮は最後の打者を遊ゴロに打ち取ると、ようやく相好を崩した。「チームの(後半戦)スタートとして、チームの顔のピッチャーで、とにかく勝ちたかった」。バッテリーを組んだ有原とマウンド上で力強く握手。テンポよく返球してリズムを作り、大きなジェスチャーで低めも意識させた。プラン通りのゲームメーク。今季のスタメンマスクは5戦全勝と、大事な後半戦開幕でも不敗を継続させた。
打撃でも貢献した。4回2死二塁で左中間へ適時二塁打。「甘い球だけに絞って、積極的にいこうと思った」。3年ぶりの打点。適時打は初打席初安打初打点だった14年10月以来、1383日ぶり。7回にも中前打を放ち、攻守で光った。
1年前は、まともに野球が出来なかった。昨年6月に右肩を痛めた。投げられないため、2軍戦でも指名打者で出場するのみ。だがベンチに座る時間が、野球観を変えた。「何も出来ない悔しさもありましたけど、こんなふうに野球を見ることもなかった。いろいろ発見できた」。
捕手らしく、広い視野で、生き残りをかけた進化の道を見つけていた。「捕手が打ったり、出塁すると、試合の流れが変わるんです。僕は出塁率が悪かった。やるべきことが見えた」。技術的には、インパクトの瞬間に体が前へ突っ込む癖を修正。思考面では、自分が打ちたいという気持ちを抑え、出塁第一に変えた。今季は1軍10試合の出場で15打数7安打、打率4割6分7厘。少ないチャンスを生かし、活路は開いてきた。
栗山監督は「昨季は悔しい思いを、わざと、させていたところもあった。今季も1、2軍を行ったり来たりだけどファームでの姿は見ていた。素晴らしかったからね」と絶賛。2年目までに1軍で28試合に出場しながら、伸び悩んでいた球界の「いしかわ・りょう」が猛チャージ。逆転Vを目指す日本ハムには、まだまだ伸びしろがある。【木下大輔】
◆石川亮(いしかわりょう)1995年(平7)7月20日生まれ。神奈川県川崎市出身。帝京から13年ドラフト8位で日本ハムに入団。180センチ、84キロ。右投げ右打ち。