個人的に「謎だった」集団を率いる人物の講演に潜入した。セイバーメトリクスなどプロ野球データを扱う「DELTA(デルタ)」社の岡田友輔氏(43)が22日、都内で「球界で求められる人材になるために」と題した講演を行った。私は09~16年まで、記録担当記者として日刊スポーツ紙面で「プロ野球メジャー流で見るセイバーメトリクス」という連載を担当。当時、インターネットでしばしば「DELTA」の記事を見かけた。個人のハンドルネームかと思っていたのだが、どうやら会社組織のよう。興味津々で会場に向かった。

千葉県出身の岡田氏は成蹊大卒の43歳。野球経験は小学校までだ。自動車関連企業を経て、02年に日本テレビの野球中継スタッフとして、ディレクターやアナウンサー向けのデータ調査を担当したことから野球界でのキャリアが始まった。その後、データ配信会社の「データスタジアム」を経て、「分析に力を入れたい」として11年にDELTAを立ち上げた。

現在の事業内容は、プロ野球データの販売、データ分析コンサルティング、インターネットサイト運営、人材紹介が中心だ。プロ野球の数球団と契約し、分析リポート作成や戦力評価の助言などを行っている。東京の本社以外に、福岡にデータ収集の事業所を構え、プロ野球の1球ごとのデータを収集している。トラックマンを導入した元楽天戦略室長の上田顕氏(34)や元楽天投手の川井貴志氏(42)も在籍する。

以前はプロ球団の、セイバーメトリクスへの無理解に苦しんだという。「プロ野球経験はあるのか」と問われたこと数知れず。書籍を出版するなど露出を増やし、業務委託契約した楽天が優勝すると、知名度と信頼度を上がり、他球団からもオファーが舞い込むようになった。

さて、講演の題名についての答えは。「アウトプットを出し続けること」。ブログなどで鋭い考察を示していけば「必ず反応はある。スカウトしたい状況をつくる」と岡田氏。自らがセイバーメトリクスの大家、ジョン・デュワン氏の後を追ったように、自分の後に続く人物の登場を願っていた。【斎藤直樹】