日本ハムのドラフト3位、日本通運・生田目(なばため)翼投手(23)が16日、さいたま市内のホテルで契約金6000万円、年俸1000万円で仮契約した(金額は推定)。流通経大時代から注目を浴びた即戦力右腕は「開幕は1軍で投げたい」と、球春にロックオン。最速155キロの直球に加えて、日本通運でコーチを務める日本ハムOB武田久兼任投手(40)直伝のカーブで、息の長い選手を目指す。

どんな質問にも動じず、笑顔を絶やさない。仮契約を終えた生田目は「見たことがない金額だったので、プロだな~と実感がわいてきた」と、これから始まる生活に思いをはせた。茨城県常陸大宮市出身で、流通経大時代は公務員を志した。契約金の使い道に「少しずつ使っていきたい」と言うあたり、実直で堅実な性格は変わっていないようだ。

2年前のドラフト会議で味わった指名漏れの悔しさを、晴らす時が来た。準優勝した大学3年時の全日本大学選手権で「イメージがものすごく良くて、どうしても欲しいと思った投手」と、栗山監督のハートを射止めた右腕。スリークオーターから繰り出す力のある直球が生命線だが、社会人2年目の今年、日本通運の投手コーチに就任した元日本ハム守護神、武田と運命の出会いを果たした。ストライクが入らず「封印していた」というカーブの握りを教わり解禁。「緩急の重要性を感じた」と、投球の妙を知った。先発もリリーフもこなせる即戦力は、投手陣の整備が急務な日本ハムにとって、救世主となる可能性を秘めている。

エンゼルス大谷をはじめ、同学年の選手は一足早くスターの階段を駆け上がった。「テレビを見ていても、同級生とは思えない。できるだけ早く追いつきたい」と、反骨心を刺激された。アマチュア生活が長く、遠回りしたぶん「1勝の重みを知っている。社会人までの経験をプラスに変えたい」と意気込む。目標は「開幕1軍」と、武田のような「息の長い選手」だ。

聞き慣れない「なばため」姓は「地元の周りは、だいたい生田目。珍しいというのは、地元を出てから知りました」と苦笑いする。「名前の翼やナバと呼ばれる」。全国にその名がとどろく日は、もうすぐだ。【中島宙恵】