発表のタイミングに被災地球団の切なる思いを込めた。楽天岸孝之投手(34)が西武時代の14年以来5年ぶり3度目、移籍後初の開幕投手を務める。

東日本大震災から8年となる11日の前日に仙台出身の右腕へ大役を託すことを表明した平石洋介監督は「我々は球団としても、個人としても、それぞれがそういう日(3・11)を大事にしたいという思いもあります」と真意を明かした。

本人への通達は台湾遠征から帰国する2日の空港で行われた。エース則本昂が11日に右肘のクリーニング手術を受けることが決まっている。「(開幕投手は)ノリ(則本昂)だと思っていた」という岸も「東北を盛り上げられるようにベストを尽くす。平石監督にとって初の公式戦。何とかしてウイニングボールを渡せたら」と静かに闘志を燃やした。17年にも指名を受けたが、インフルエンザを発症して登板はかなわなかった。「そういうことがないように。平石監督のために、開幕戦だけじゃなく、1年頑張る」と続けた。

「タカ(岸)はタカらしくやってくれれば十分。いつも冷静に投げている姿を想像されると思うんですけど、内に秘めた闘志、気持ちはものすごく強い。いろんな意味で、あいつのことを一番信頼しています」。平石監督のシンプルな要望から絶対の信頼がにじむ。東北へ祈りを捧げる日を前に発信したメッセージ。チームは心を1つに、29日のロッテ戦(ZOZOマリン)へ向かう。【亀山泰宏】