明大が7点差をひっくり返す大逆転勝利を収め、16年秋以来5季ぶり40度目の優勝を飾った。同点の8回2死一塁、代打松下且興外野手(3年=九州学院)の中越え二塁打で勝ち越し。9回は森下暢仁投手(4年=大分商)が3人で締めた。

明大は全日本大学野球選手権(6月10日~、神宮球場ほか)で、1981年以来38年ぶり6度目の頂点を目指す。

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前へ突き進む明大の破壊力が、法大をのみ込んだ。7点ビハインドを5イニング連続得点で逆転。9回のマウンドには、エース森下が立った。同じ4年の三塁・北本一樹(二松学舎)、一塁・喜多真吾(広陵)の声掛けにほほ笑み返す。

完投した前日の第1戦は、3点リードも終盤8、9回で4失点。この日は、その時のこわばった顔はなかった。肝が据わったエースの形相。先頭宮本は2球直球を続け、三ゴロ。前日は神経質になり、逃げて四球の福田には真っ向勝負。「今日は、気持ちの持ち方が違いました」。147キロでファウル。2球目も146キロで一ゴロ。ストレート待ちの福田をまったく恐れず、見下ろす気迫だった。

何よりも攻撃陣の奮闘が光った。初回にいきなり6失点。3回までに0-7。添田真海内野手(4年=作新学院)は「正直7点は難しいと。でも、5点目を取った時、行けると思いました」。善波達也監督(56)が3回にかけた言葉で流れが変わった。「まず2点取って来い」。

善波監督が監督就任した08年の全日本大学選手権の準決勝・東海大戦。6点を先制しながら、5回の1イニングだけで16失点し敗退した。当時の東海大・横井監督が選手に発した名文句を、今度は善波監督が選手に放った。「俺たちにだって出来るだろう。まず、2点取って来い」。7点ビハインドは、今季の明大にとっては致命傷ではなかった。気持ちがかみ合えば、今の明大に不可能はないと思わせるほど一体感は強い。目指すものは1つ。38年ぶりの全日本大学選手権制覇への戦いが始まった。【井上真】