「西川塾」の開講だ。過去3度、パ・リーグ盗塁王に輝いた日本ハム西川遥輝外野手(27)が5日、沖縄・国頭村の秋季キャンプで「盗塁」について“特別講義”を行った。チームメートが熱心に耳を傾ける中、スタートのコツなど約15分。

「チームメートじゃなかったら、絶対に教えない話をした」と“マル秘テク”を伝授。球界屈指の韋駄天(いだてん)が、チーム力底上げのために一肌脱いだ。

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ベースランニングを終えた野手全員が、一塁ベース付近に集結した。輪の中心に立ったのは、背番号7。西川は「自分がやっていることを、けっこう言いました」。実演を交えて約15分。14、17-18年と過去3度、リーグ最多を記録した盗塁のコツをチームメートに伝授した。

1軍走塁コーチ不在という、特異な環境の新体制。矢野外野守備兼打撃コーチ補佐から“臨時コーチ”の打診があったのは、3日前の今月2日だった。

矢野コーチ せっかく盗塁王がいるのだから、聞かない手はない。こんなに高度なことを考えているんだ、と勉強になった。コーチよりも選手が言う方が響く。それが大事。

内容はリードの際の体重移動から、スタート、構えなど、細部に渡った。

西川 お金で動きました。本、出せるもん。でも(本を出したら)僕が盗塁できなくなっちゃうから。チームメートじゃなかったら、絶対に教えない話しをしました。

18年には、盗塁成功率9割以上をマーク。門外不出のマル秘テクニックを、チームメートにささげた“失敗しない男”は「コーチ手当て、もらわなアカンな」と、不敵に笑った。

今季は西川の不調もあり、チーム盗塁数は楽天と並びリーグ最少の48。栗山監督は「走塁は1つの大テーマ」とし「野球はコツのスポーツ。遙輝が1人で作り上げてきた本物の考え方を(仲間に)伝えることは、お互いにとってプラスになる」。来季は走力アップでV争いに食い込む。【中島宙恵】