阪神13年ぶりの前半首位ターン決定は、またお預けになった。

先発西勇が9回1失点と大奮闘したが、打線が高橋らに今季最少の1安打で0-1敗戦。高橋は今季4戦4敗、甲子園19イニング無得点の天敵で、矢野燿大監督(52)は「悔しさを持って」とナインの奮起を促した。2位巨人にはセ・リーグで唯一7勝8敗と負け越し、ゲーム差は再び1・5。12日からの前半ラスト3連戦は、前回甲子園で3連敗したDeNA戦。猛虎の意地が試される。

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ド迫力ユニのウル虎が、力なく負けた。1点を追う9回は、巨人ビエイラの前に、先頭のロハスが3球三振。続く近本も三邪直に倒れ、最後は糸原が162キロに空振り三振。9イニングでは今季最短の2時間19分で、今季5度目の完封負けを喫した。エース西勇が9回1失点と大奮闘しただけに、矢野監督は「いかんせんね、ゼロじゃ勝てない」と打線に矛先を向けた。

巨人の先発左腕、天敵高橋の前にまた0を並べた。140キロ台前半の直球にカーブ、チェンジアップ、スライダーなど多彩な変化球に翻弄(ほんろう)された。最大の好機は3回。先頭中野が唯一のヒットを放って1死二塁の好機をつくったが、近本と糸原が凡退した。7回1安打無得点。高橋には今季4戦4敗、防御率1・08と抑え込まれる。しかも甲子園の対戦では3試合で1点も奪えず、無得点は19イニングに伸びた。指揮官もイラ立ちを隠せず、攻撃陣の奮起を求めた。

矢野監督 もちろん、ミーティングでもいろいろやってくれたりしているけど、プロである以上、結果で示していかないとダメ。プロとして、何度もやられるという悔しさを、しっかり持ってやっていきます。

もどかしい空気が漂う。この日も前日からの継続で4番大山、6番佐藤輝の並びで臨んだが連日の不発。無安打の6番佐藤輝は8回に左腕大江に三振に斬られ、三振数が117個となった。あと4三振で中日福留が99年に記録した新人最多の121三振に並ぶ。

追われる立場特有、胃がキリキリするような苦しさがある。2位巨人との対戦成績は7勝8敗となり、今季初めてセ・リーグ球団相手に黒星が先行。08年以来13年ぶりの前半首位ターン決定はまたもお預けで、再び1・5ゲーム差まで迫られた。指揮官は「最後に勝てばいい。何とも思っていない」と自らを奮い立たせるように語気を強めた。

前半は残り3試合。最後のカードは、前回同じ甲子園で同一カード3連敗を喫したDeNA戦だ。矢野監督は「残り3試合なんでね、打者陣の奮起というか、残り3試合に向けて、気持ちをぶつけてほしいなと思います」と闘志あふれる戦いを求めた。笑って五輪ブレークを迎えられるか。まさに前半戦の正念場、踏ん張りどころだ。【桝井聡】

▼阪神の前半戦首位確定は最短13日となった。12日からDeNAに○○または○△なら、13日の巨人-ヤクルト戦の結果と無関係に決定。13日に巨人△または●なら、前記以外にも決まる場合がある。

▼阪神のヒットはルーキー中野の1本だけ。新人の1安打だけは、20年9月3日日本ハム戦の小深田(楽天)以来で、阪神では56年7月7日中日戦の大津以来65年ぶり2度目。この試合は相手先発の杉下に延長10回まで1安打0点に抑えられ、最後は杉下のサヨナラ安打で0-1で敗れた。

▼阪神の1安打以下の敗戦は20年11月10日の巨人戦(甲子園)以来。巨人戦では通算18度目。甲子園で初めて巨人戦が開催された1936年(昭11)9月25日の対戦では、沢村栄治にプロ野球初のノーヒットノーランを許している。

▼スコア0-1の1安打以下敗戦は、82年6月9日のヤクルト戦以来39年ぶり。巨人戦では、81年4月11日以来、40年ぶり。安打者はいずれも北村照文。

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