「バント侍」が1発で4番モードに切り替えた。東京オリンピック(五輪)の金メダル獲得に貢献した侍ジャパンのソフトバンク栗原陵矢捕手(25)が10日、米国との決勝から中2日でウエスタン・リーグ阪神戦(タマスタ筑後)に出場。本塁打をかっ飛ばし、13日の日本ハム戦(ペイペイドーム)で始まる後半戦にはずみをつけた。

久々の感触だった。4点ビハインドの5回2死の第3打席。カウント1-1からルーキー村上のカーブをとらえ、右翼席に運んだ。本塁打は6月30日の西武戦以来。思わず笑みが浮かんだ。安打はこの1本だけだったが5打席立ち、「プラスになりました。まだ足りないところも見えたし、良かった」と振り返った。

五輪は2日の準々決勝・米国戦で、同点タイブレークの延長10回に代打で初出場。甲斐のサヨナラ打を呼ぶ千金の犠打を1球で決めたが、出番はこの1打席だけだった。試合での“スイング”は7月24日、楽天との日本代表強化試合以来17日ぶりだった。「不安はありますね。練習しても動けていなかった。打撃練習もひどかった。ちゃんとしないといけない」。危機感を持って臨んだ一戦で、不安一掃の集中力を発揮した。

試合前は育成選手らに交じって早出練習で振り込むなど、意欲的に動いた。首脳陣も「1番三塁」で打席に多く立てるように計らった。試合途中からは左翼守備にも就き、実戦感覚を取り戻すことに努めた。

気持ちは逆転のリーグ優勝、日本一へと切り替えた。「チームはリーグ連覇だけを狙っている。チームに貢献できるように頑張りたい」。金メダリストがたくましさを増し、鷹の主軸に帰ってきた。【山本大地】

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