東京6大学の「未完の大器」がドラフト1位候補に躍り出た。法大の最速152キロ左腕・山下輝投手(4年=木更津総合)が立大2回戦で今季初登板初先発。援護なく敗れたが、この日最速151キロ直球にスライダーが切れ、7回7安打2失点、12三振を奪った。各地でドラフト候補が躍動。11日の運命の日を迎える。

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山下は立大打線に当てさせなかった。初回、先頭にいきなり四球を出すが、崩れない。左の2番田中祥を空振り三振。3球で追い込んでから外のスライダーを振らせた。右の3番宮崎には3球連続内角直球で、1球も振らせず見逃し三振を奪った。2回以降も毎回三振。右打者の膝元へのスライダーが効いた。「右が並んでいたので、インコースのスライダーがカギになると。思うように空振りが取れました」と振り返った。

1年生の12月に左肘のトミー・ジョン手術を受けた。神宮デビューは3年春と遅れたが、今春初完投。最後の秋へ、夏場は体力強化に加え、直球の質と変化球の精度向上に励んだ。順調にきていたが、8月後半に部内で新型コロナウイルスの集団感染が発生。約1カ月の活動停止を余儀なくされた。代わりに、河川敷などで汗を流した。計12三振に「夏に取り組んだ結果は出せました」とうなずいた。

コロナでリーグ戦参加が遅れたため、今季初登板がドラフト前日となった。だが、非運を嘆かず、最後のアピールの場に臨んだ。視察した5球団からは1位候補の力を認める声が続いた。「開幕やドラフト、いろいろなことが重なって、おとといから、ご飯が取れませんでした。人生初めて。だいぶ緊張しました」と100キロの巨体で言った。やれることは、やった。後は待つだけだ。【古川真弥】

▽日本ハム大渕スカウト部長 変化球が良かった。立教の打者はスイングが強いが、三振を取れている。1位の看板は十分ある。

▽楽天後関スカウト部長 コントロールも、だいたい狙ったところにいっている。スライダーも切れている。(1位に入る)可能性はあるのでは。