広島が巨人との死闘を制し、奇跡の大逆転CS進出をグッと引き寄せた。

初回に4点を奪い、3回には鈴木誠也外野手(27)が本塁打キングを猛追する36号特大ソロを放って3点を追加。今季巨人戦10発目で、同戦の1シーズン2桁本塁打は球団5人目となった。8-0の大差から9回に1点差まで迫られたが、逃げ切って3位巨人に3ゲーム差に大接近。残り8試合。総力戦で、3年ぶりのAクラスをつかみにいく。

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カープ打線が束となって、巨人に襲いかかった。初回、宇草が高橋の143キロ直球を完璧に仕留め、右中間スタンド上段へのプロ初先頭打者弾。強烈な先制パンチを食らわした。さらに2死一、三塁から菊池涼が左越え適時二塁打を放つと、二、三塁から林が中前へ2点適時打。打者9人の猛攻で、4点を先取した。

主砲の特大の1発が、打線にさらに勢いをもたらした。4点リードの3回、先頭の鈴木誠が戸根の高めチェンジアップを捉え、左翼5階バルコニー席に飛び込む2戦連発の36号ソロ。「(先発)森下の援護点になって良かった」。この回、無死一塁から菊池涼も左越え16号2ランで続いた。6回には2死二塁で、小園がダメ押しの左前適時打。リードを8点に広げた。

鈴木誠は、セ界トップのヤクルト村上、巨人岡本和に接近した。本塁打王争いは「特に意識はしていない。1打席1打席チームが勝てるように、最後まで頑張ります」とタイトルに興味を示さなかったが、マルチ安打で打率は3割2分3厘に上昇。首位打者をキープし、打撃2冠を視界に捉えた。今季巨人戦10発目。球団で同戦2桁本塁打を放ったのは山本浩、金本、緒方、新井のレジェンド打者に続く5人目の快挙だ。

主砲は試合前、2年目ながら1番に座る宇草に声をかけた。「練習通り、平常心でいつも通り臨んでいこう」。チームに勇気をもたらす先制弾につながり、宇草は「ありがたかった。練習通り落ち着いて入ることができた」と感謝。主将として、後輩への気配りを忘れない。

最大15ゲーム差あった巨人相手に4連勝で締めくくり、ついに3ゲーム差。佐々岡監督は「残り8試合。チーム一丸で全力で戦って、全部勝つだけです」と力強く言い切った。長くかすんでいた「CS進出」が、手の届くところまで見えてきた。【古財稜明】

▽広島宇草(プロ初の先頭打者アーチに)「誠也さんから『練習通り、練習通り』とアドバイスをもらっていたので、練習通り打つことが出来ました」