オリックスが全員野球で首位を奪い返した。1点を追った5回。2死無走者から打線がつながった。「それができなくて苦しい展開になっていた。やっとつながったような気がしました」。中嶋監督も万感で、2位以上を確定させた3時間37分の熱闘を振り返った。

2死から安達が四球を選び、二盗。小さくともったチャンスの灯を、紅林が大きくした。早川から、左中間を真っ二つに割る同点の二塁打だ。

紅林 安達さんが2アウトから出て盗塁を決めて回してくれたチャンス。なんとか同点に追いつく一打になってよかったです。

打線を組み替え、9月15日楽天戦以来の「8番紅林」が奏功。10日ソフトバンク戦で千賀から死球を受けて心配されたが、良好な回復を証明した。なお2死二塁で、若月が決勝打。楽天打線に2発を浴びた捕手のリベンジだった。

若月 走者を出しながらもしのいでいたのに、簡単に点を取られて。(5回の2本目は)致命的な1点になると思って落ち込みました。あの打席は、結果を出したかったです。

若月は今季初の二盗も決め、福田が四球で続いて2死一、二塁。宗がとどめの適時三塁打。12日ロッテ戦の涙の同点2ラン以来、25打席ぶりの快音だった。

得点力不足に苦しんでいたチームにとって、5日日本ハム戦の6回4点以来、96イニングぶりの“ビッグイニング”。攻撃陣は好機を実らせた。先発田嶋が懸命に投げ、杉本も2回のバックホームでもり立てた。全員で勝った。

1988年(昭63)10月19日、西武と優勝を争った近鉄バファローズはロッテとのダブルヘッダーに先勝したが、最終戦の第2試合は引き分け、厘差でV逸した。球団合併で生まれたオリックスバファローズは今季、ロッテと覇権を争う。中嶋監督は「本当にあと3試合、全員でやり抜くしかない。なんとか3つ勝てるようにやっていきます」と全勝宣言。王座へ、全員で前進する。【堀まどか】

▽オリックス宗(5回に追加点となる2点三塁打)「ここまで全然打ててなかったし、崩されながらでしたけど、いい追加点になってくれたと思う。なんとか打ててよかったです」