いよいよ頂点が見えてきた。ロッテが日本ハムの猛追を振り切り、2連勝で優勝マジックを1つ減らして「3」とした。5回に田村龍弘捕手(27)の二塁打で先制し、じわじわと3得点。9回に1点差に詰め寄られたが逃げ切った。リードした石川歩投手(33)は8回無失点と好投。益田直也投手(31)は球団新記録の38セーブ目を挙げた。残り4試合。最短で27日に優勝が決まる。

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田村が有言実行の2安打目で決めた。5回1死一塁、甘く入ったスライダーを左中間へ運び、一走藤岡を一気に本塁へ迎え入れた。「つなごうと右に打とうとしたら、たまたま引っ掛かった。いいところに飛んでくれました」。二塁ベース上で手をたたいて喜んだ。

石川が登板する前日のロッカールームで田村はいつも宣言する。「明日は俺が打つんで大丈夫ですよ」。今回は「2本」と約束していた。3回に中前打。先制二塁打が2本目だった。正捕手として開幕を迎えた今季、コンディション不良のため、後半戦は中日からトレード加入した加藤のスタメン起用が増えた。「1週間に1回くらいしか出ない」なら、そこで貢献するしかない。打撃でもアピールしたい。気合が入った。

「やってきたことを出せるか出せないか」と、よく口にする。毎試合が優勝のゆくえを左右する日々。幸せだと分かっていても、体は硬くなる。それを緩和させるのが経験だ。「去年もそうですし、2015年も2016年も、そういう時にやれていた」。昨季も優勝を争った。張り詰めた空気のCSも味わってきた。自分のミスで負けて号泣したこともある。場数を踏んできたから、久々の先発でもすっと試合に入れた。

石川の3連勝はいずれも田村がマスクをかぶった。自負がある。「昔からずっと組んでて、どういう人か分かっている。どういうリードをすればいい石川さんを引き出せるかを、一番多く組んで分かっているつもりなので」。要求に右腕が応えてくれた。好調でなくとも、カーブで緩急を有効に使った。投手陣を“乗せられる”のは、自分だ。

だから9回も追いつかれるわけにはいかなかった。「今日やらかしたらもう組めないと思ったので、必死に頑張りました」。益田とは公私ともに仲がいい。優勝の瞬間、きっと胴上げ投手になる。「優勝した時にマスクをかぶりたい。本当に、最後はあそこにいたいと思いますね」。悲願の時は早ければ、3日後にやってくる。【鎌田良美】

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