高卒2年目の阪神高寺望夢内野手(19)が鮮やかなマルチ安打で強烈な「第一印象」を植えつけた。

1軍デビュー戦。3回の初打席に向かうとき、心に決めていた。「対投手が初めて。見ていくのではなく、振っていこうと思って初球から打ちました」。馬場の1球目をとらえると強烈なゴロで右前へ。物おじせず1軍初安打をマークした。

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塁に立つと島田の初球でスタートを切った。飛び出した形になり、島田の三邪飛で走塁死になったが、果敢さが光った。「試合に入れば、特に緊張とかはなかった。いつもの感じでできました。塁に出たら絶対に走ることはやろうと」と振り返った。堂々と答え、フレッシュさがはじける。

上田西(長野)から20年ドラフト7位で入団した。新人の昨季は2軍戦58試合出場で打率1割6分2厘だったが、秋のフェニックスリーグ13試合で5割2分2厘の猛打。初の1軍キャンプに抜てきされた。チャンスに目の色を変える。6回2死一塁では小川の初球を強振し、右中間二塁打。鋭いスイングが際立ち、逆転をお膳立てした。矢野監督は「高寺も」と名指しして「積極性がしっかり出て結果も伴ってきている」と評価。アピール成功だ。

1軍キャンプ最年少、次代の内野手が下から突き上げる。1月下旬、指揮官は「若い選手は特に成長スピードが一気に加速する可能性がある」と言い、競争を仕掛けた。この日も「打撃も本当に非凡なものがあるけれど、俺らでも分からない部分がいっぱいある」と話した。未知数の魅力たっぷりの力強い第1歩だった。【酒井俊作】

◆高寺望夢(たかてら・のぞむ)2002年(平14)10月17日生まれ、長野県出身。上田西から20年ドラフト7位で阪神入団。1年目の昨季はウエスタン・リーグ58試合に出場し、22安打、1本塁打、10打点、打率1割6分2厘。同年秋のフェニックスリーグで打率5割超えと、頭角を現した。178センチ、76キロ。右投げ左打ち。今季推定年俸は480万円。