サブマリンが、ボールを置く。台湾・中信兄弟で今季プレーした牧田和久投手(37)が、今季限りで現役を引退することが24日、分かった。昨年10月に楽天を退団し、今季はシーズン途中から中信兄弟でプレー。6試合に登板したが、防御率8.44と力を発揮できず、ユニホームを脱ぐことを決断した。

強心臓を武器に、弱肉強食のプロの世界で名を残した。西武では1年目から開幕ローテ入りし、新人では異例のシーズン途中に守護神に転向。22セーブを挙げ、新人王を獲得した。12年は先発再転向で13勝をマーク。16年以降は中継ぎに本格転向し、18年には大リーグのパドレスで27試合に登板した。

一躍、脚光を浴びたのが13年のWBCだった。超一流が集まる侍ジャパンの守護神で活躍。台湾戦では同点の9回に登板し、投前への小飛球をダイビングキャッチするスーパープレーで強烈な印象を残した。アンダースローからの独特な軌道、超速クイックや超スローカーブなど、オンリーワンの存在だった。

試練を力に変え、周囲に勇気を与えた。日本通運時代の08年に右膝前十字靱帯(じんたい)断裂の大けが。プロ入りの夢をあきらめかけたが、過酷なリハビリを経て、扉を開いた。NPB通算345試合に登板し、55勝51敗27セーブ、防御率2.81。今後は未定だが、米国、台湾と渡り歩いた12年のプロ生活に別れを告げ、新たな夢へと進む。

◆牧田和久(まきた・かずひさ)1984年(昭59)11月10日、静岡県焼津市生まれ。静清工(現静清)、平成国際大、日本通運を経て、10年ドラフト2位で西武に入団。1年目に22セーブで新人王を獲得した。18年からは大リーグのパドレスに移籍し、20年からは楽天に移籍。今季は台湾・中信兄弟でプレーした。13、17年WBC、15年プレミア12など日本代表でも活躍した。177センチ、85キロ。右投げ右打ち。