球界初の「現役ドラフト」が9日、オンラインで行われ、日本ハムは西武の松岡洸希投手(22)を獲得した。松岡は独立リーグのBC・武蔵から19年ドラフト3位で西武に入団した右腕。通算7試合に救援登板も、3年目の今季は1軍登板がなかった。「スネークボール」で活躍した元ヤクルトの守護神、林昌勇投手をまねたというサイドスローが心機一転、「新球場元年」を迎える北の大地で、スターの座を目指す。

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初の試みとなる「現役ドラフト」で日本ハムが指名したのは、プロ入り3年目、まだ22歳と将来性にあふれる右腕だった。第一報を耳にした松岡は「正直、びっくりしています」と素直に驚きながらも「ファイターズは昨年監督が代わって、相手として怖いチームだと思って見ていました。今回の移籍をチャンスと捉えて、頑張っていきたいです」と、新たな舞台へ視線を向けた。

埼玉出身で、高3で野手から投手兼任に。無名の桶川西高からプロ入りを目指したが、指名漏れを経験してBC武蔵へ進んだ。高校時代には、同学年の日本ハム野村を擁する花咲徳栄と対戦経験もある。BC・武蔵で、本格的に投手に転向。ヤクルトの元守護神で蛇のような軌道を描く直球「スネークボール」を武器に通算128セーブを記録した林昌勇を手本として、投球フォームをサイドスローに変更。最速149キロの本格派として、一躍、注目を浴びる存在になった。

プロ入り後は救援で通算7試合に登板も、防御率は12点と結果を残せなかった。今季、1軍登板はなかったが、稲葉GMは「スリークオーター気味のフォームから強いボールを投げられるのが魅力。若いですし、まだまだ伸びしろがあると思っているので、ファイターズでその力を発揮して欲しい」と、潜在能力に期待する。チームは守護神不在で、中継ぎを含めて救援陣の強化が急務だ。力のある直球を投げ込む本格派、さらには変則投手という点も、新庄監督の好みに合致する。新球場「エスコンフィールド北海道」が開場する来季、無限大のチャンスが広がる新天地で、成功の夢をつかめるか。【中島宙恵】

 

◆松岡洸希(まつおか・こうき)2000年(平12)8月31日生まれ、埼玉県出身。桶川西時代にプロ志望届を出すもドラフト指名漏れ。独立リーグBC・武蔵を経て19年ドラフト3位で西武入団。昨年9月に右肘のクリーニング手術を受けた。180センチ、85キロ。右投げ右打ち。横手投げの投手。来季推定年俸600万円。

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