出場機会に恵まれない選手の移籍を活性化させるNPB史上初の「現役ドラフト」が9日に行われ、ソフトバンクは日本ハムから古川侑利投手(27)を獲得した。リリーフ期待の右腕はトレードや戦力外、育成契約からの支配下復帰なども経験した佐賀出身の苦労人。地元九州で再出発を期す。また、今季ロッテでプレーした元メジャーのセーブ王、ロベルト・オスナ投手(27)を獲得することも判明。リリーフ陣強化で3年ぶりのV奪回を期す。

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NPB史上初の現役ドラフトを終え、オンライン会見に応じたソフトバンク三笠杉彦取締役GM(48)は満足の笑みを浮かべた。「投手を獲得したいと思っていたので、予定通り獲得できたと思っています」。指名したのは地元九州の佐賀・武雄市出身の日本ハムの右腕、古川侑だった。

紆余(うよ)曲折を味わった苦労人だ。有田工時代は3年夏の13年に佐賀大会で全試合完投し、チームを初の甲子園に導いた。同年ドラフト4位で楽天に入団。18年途中から先発に定着して4勝を挙げた。19年途中、トレードで巨人に移籍。21年オフに戦力外通告を受けたが、合同トライアウトを経て日本ハムに育成入団した。プロ9年目の今季は開幕前に支配下登録を勝ち取り、中継ぎで自己最多の34試合に登板した。

ソフトバンクは中継ぎの役割を期待している。三笠GMは「今年も30試合以上に登板していますし、以前からホークスとしても認識しているいい投手。我々の投手陣の層を厚くするような活躍を期待しています」と、獲得の狙いを話した。

加えて「実戦経験が豊富。年齢も若いですから、まだまだ伸びしろがあるところが魅力。佐賀県出身ですので、地元に帰ってきてもうひと花、ふた花咲かせてもらうようなモチベーションでプレーしてもらえたらなと思います」と魅力を挙げ、再ブレークに期待した。

古川は日本ハムを通じ「トライアウトでBIGBOSSに声をかけてもらい、1度あきらめかけたプロの世界に戻るチャンスをいただきました。地元九州のソフトバンクに移りますが、変わらぬご声援をいただければと思います」と新天地での意気込みを明かした。故郷に近い福岡の地で、一旗揚げ、チームの3年ぶりV奪回に力を注ぐ。【山本大地】

◆古川侑利(ふるかわ・ゆうり)1995年(平7)9月8日生まれ、佐賀県出身。有田工3年夏の甲子園出場。13年ドラフト4位で楽天入団。19年7月に和田恋とのトレードで巨人移籍。昨年オフに日本ハムと育成選手として契約し、今年3月に支配下選手。178センチ、86キロ。右投げ右打ち。投手。来季推定年俸1300万円。

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