さすが満塁男! 阪神木浪聖也内野手(30)が面目躍如の2点二塁打で攻撃の主役になった。
初回。押し出し四球で先制し、なおも2死満塁のチャンス。強く引っ張った打球は右翼の奥のライン上ではずんだ。
「みんながつないで、つないで回ってきている場面でもあるし、満塁というだけで打ってやろうという気持ちになりました」
ヤクルト高津監督がファウルでは? とリクエストしたが判定は不変。岡田監督も「大きいよ、あれ」と絶賛した一撃だった。6回にも右翼線二塁打。8回は中前打で猛攻の口火を切った。3安打は今季初めてだ。今日21日に甲子園準決勝を戦う母校青森山田にも最高のエールとなった。満塁では12打数6安打、打率5割の11打点。「本当に分からない。たまたまなのか、運がいいのか…それだけだと思います」と照れた。
昨季は「恐怖の8番打者」として活躍した。それが今季はこの日ようやく打率2割台に乗ったほどの打撃不振。さらに6月、死球で左肩甲骨を骨折。復帰に1カ月以上要した。その間、小幡が成長。後輩の故障がなければ立場が変わっていたかもしれない。
やり返す-。大事にしている言葉だ。昨年7月。打てずにベンチ最前列で泣いた前川に声をかけた。
「次、やり返したらいい。この1試合でプロ野球生活が終わるわけじゃない」
前川には伝えなかったが、試合中に涙を見せるのは流儀ではない。まだチームが戦っているからだ。これまで何度も苦しい思いをしてきたが感情は押し殺した。「どんなに悔しくても、やり返すしかない。切り替えてほしい」と後輩への思いを込める。もちろん自分自身に向けられている。
逆転5へ、厳しい状況は依然続く。それでも木浪は「引きずらないで1戦1戦。負けたあとに『やり返す』ことを自分たちはできる。それが今日しっかりとできた」と強い口調で言った。残り31試合。逆襲のチャンスは残されている。【柏原誠】



