もう背伸びしない。西武菊池雄星投手(19)が29日、2年目キャンプへ飾らない自分を誓った。昨年の春季キャンプで苦い経験をした反省から「昨年は右も左も分からず、迷惑を掛けないようにとか、マスコミにいいところを見せようとかしていた。いっぱい恥をかいたので、かっこつける必要もないし、がむしゃらにいけると思います」と意気込みを語った。

 明るい表情は、痛めた左肩の回復ぶりを物語る。この日、西武室内練習場のマウンドに上がり、捕手を座らせた。力強い腕の振りで31球。痛みを気にする様子もなく、外角低めを狙った鋭い速球がミットをたたいた。昨年は1月の自主トレから左肩周辺に不安を感じ「昨年は痛いままキャンプインした。今も違和感はあるけど、先が見える“いい違和感”。どこまでいけるか、自分に期待してます」と順調さをうかがわせた。

 キャンプでリラックスするためのアイテムとして、観賞用のDVDを約50枚も用意した。お笑い系では「人志松本のすべらない話」が好きで「基本です。松本人志さんは笑いの神様ですから」。また、昨年初めて見たという高校ラグビーの名作ドラマ「スクールウォーズ」に感動。それを題材にしたNHKのドキュメンタリー「プロジェクトX」も荷物に入れた。「(登場人物の)イソップで泣きますよね。モチベーションが上がります」。どん底からはい上がる物語に、自身の姿を重ね合わせているのかもしれない。

 不安を抱えたままの1年目キャンプは苦痛で仕方なかったが、今年は違う。投球ペースを徐々に上げ「キャンプで調子に乗らないように自分をセーブしながら、紅白戦やオープン戦を見据えて逆算してやりたい」。地に足をつけて、155キロ左腕が真価を見せる。

 [2011年1月30日10時54分

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