<西武5-2日本ハム>◇3月31日◇西武ドーム

 負けない男には、何かがあるに違いない。西武十亀剣投手(25)が今季初勝利を挙げ、デビューからの連勝記録を「7」に伸ばした。苦手にする立ち上がりは、相手のボーンヘッドに助けられて、波に乗った。実力はもちろん、運も味方につけての快投。負けない秘密に「潜入」した。

 いつもバタバタする初回、大きなピンチを迎えた。1死一、三塁で、打席には4番中田。内角で詰まらせて二塁への小飛球に打ち取ったが、一塁走者・小谷野が飛び出して併殺に。「ゲッツーはもうけもの。あそこが一番大きかった」と8回まで無失点と立ち直るきっかけになった。もしかしたら、普段から強運なのか?

 本人に直撃した。

 十亀

 自分で最初に買った本が「運を呼び込む方法」でした。待っていても運はこない。自分で引き寄せるもの。人と違うことをすることが大事、と書いてあったので実践してます。

 人と違うことをして、運を呼び込んでいた。例えば、寝る時だ。投手は商売道具の肩ひじに負担がかからないよう、利き腕を下向きにしないものだが「左肩を下に寝たら結果が悪かった。右肩を下にしたら好投したので、それからずっとそうしてます。寝たら体勢が変わるので、気にしない」と今は験担ぎにする。運試しに、宝くじを買うと「3万円分(100枚)を買って、返ってきたのは最低配当の6000円。そういう運はないので、諦めました。野球で運があればと思います」。

 新人だった昨季は主に中継ぎで41試合に登板して6勝。開幕ローテ入りした今季、渡辺監督から「先発だから、そのうち負ける」と笑ってプレッシャーをかけられたが、十亀は「僕に負けがつかないことは、チームの勝ちにもつながる。続けたいです」と力強く言った。あと1人で初完封こそ逃したが、“持っている男”はさらなる記録更新に貪欲だった。【柴田猛夫】

 ▼十亀が今季初登板を白星で飾り、デビューからの連勝を7に伸ばした。日本人投手で初登板から無傷の7連勝以上は、01~06年に愛敬(近鉄→楽天)が8連勝して以来。セ・リーグでは66年堀内(巨人)が13連勝しているが、パ・リーグで7連勝以上は55年円子(南海)7連勝、56年稲尾(西鉄)8連勝、85~87年松浦(日本ハム)7連勝、愛敬8連勝に次いで5人目。パ・リーグ記録へあと1勝に迫った。