野村カープが史上最強のドラフト補強に成功した。野村謙二郎新監督(43)が就任した広島は、1位でセンバツ優勝の今村猛投手(長崎・清峰)、2位に夏の選手権優勝の堂林翔太投手(愛知・中京大中京)を指名。甲子園春夏優勝のエース2人を同一球団が指名したのは史上初のこと。3位では即戦力で武内久士投手(法政大)、4位で庄司隼人投手(静岡・常葉学園橘)ら好素材を指名するなど順風満帆の発進となった。

 思い描いていたシナリオの中で最高の結果だった。野村監督はドラフトの手応えについて問われると「本当に、事前にシミュレーションしていた通りだった。100%以上の満足はないけど、それくらいの気持ちです」と初の大仕事を会心の笑みで振り返った。

 1位で今村、2位で堂林。今年のセンバツと選手権の優勝投手2人を同時指名というドラフト史上初の快挙を達成した。日本一を経験した“勝ち運”ある2人をダブル指名できたことに指揮官も表情もほころぶ。

 ドラフト当日の午前10時から、スカウト会議に参加した。さまざまな状況を考え、いくつもの選択肢を想定した。高く評価していた堂林の2位指名に関しては、監督就任時から「優勝を狙う」と公言し「勝ちに行く野球を掲げていたので、(即戦力投手を指名するべきかどうか)悩んだ」という。だが、先日、OBの元監督山本浩二氏と会った際「(堂林の)ボールのさばき方は高校生離れしているぞ」との言葉もあり、監督自らが堂林の指名を強く推した。それだけの逸材との判断だった。

 3位でセットアッパーとして期待する武内を指名できたことで、即戦力の補強にも成功した。

 「今村も堂林も(高校生だが)、チームにとっては刺激になるし注目度でも即戦力。ごく近い将来、上でやってくれると思う」と野村監督。今村には来季中にも1軍マウンドに立つ姿を思い描き、堂林には内野手として「良ければどんどん起用したい」と期待する。下位指名も含め満点以上のドラフトとなった野村カープ。新監督最初の仕事は、最高の結果となった。【高垣

 誠】