菅野一本釣り!

 巨人が、今日27日のプロ野球ドラフト会議で東海大・菅野智之投手(4年=東海大相模)を単独指名することが確実になった。巨人は26日、都内の球団事務所でスカウト会議を行い、菅野1位を最終確認した。競合する可能性もあったものの、他球団の動静を精査した結果「競合なし」との手応えを得た様子。長野久義外野手(26)沢村拓一投手(23)に続き、3年連続一本釣りとなる。

 スカウト会議を終えた球団事務所には、安堵(あんど)の空気が漂った。「競合なし」。巨人の調査の結論だった。清武GMは報道陣の前に出てこなかったが、山下スカウト部長が取材に応じた。一本釣りの手応えを問われると「分からない。何とも言えない」。「外れ1位」の人選については「想定したくない」。慎重な言葉を並べたが、一本釣りを確信している落ち着きぶりだった。ソフトバンクと日本ハム。この2球団の強行指名を危惧していた。ただ、この日までに「菅野指名なし」の精度が限りなく100%に高まった。

 ビッグ3の一角、注目右腕を一本釣りだ。菅野は3年生の時点で学生最速タイの157キロをマークし、12球団が注目する存在に躍り出た。獲得への先制パンチは巨人だった。昨年12月14日に1位指名を異例の早さで公言した。それでも、1月7日の練習始めには巨人、中日、阪神、広島、横浜、西武、ヤクルト、ソフトバンク、オリックスと、9球団13人のスカウトがあいさつのために東海大を訪れた。

 原監督の妹の息子。血縁関係は、他球団を敬遠させる大きな要素だった。仮に交渉権を獲得しても、1位選手の入団拒否となれば、チーム編成に甚大なダメージとなる。リスク回避を選択した他球団スカウトの足は徐々に離れていった。22日の首都大学リーグ、菅野の今季最終先発登板を見守ったのは巨人と中日。ただし、中日の目当ては日体大の辻だった。

 宮崎合宿を打ち上げたこの日、原監督は「明日はドラフトだな、その心境だけですよ」と話した。仮に競合となれば、7度目のくじを引くことになる。ドラフト恒例の「朝風呂&爪切り」の験担ぎについては「爪はもう切っちゃった。切りすぎたよ。いつもより、用意周到だよ」と、笑顔を見せ、はやる気持ちを表現した。それでも、幼少のころからかわいがってきた「ともゆき」という名は口にしない。晴れて交渉権を得るまで、多くは発信しないという意志をのぞかせる。「その時は、ちゃんとお話しします」と原監督。待ちに待った日が、ついに来る。