5年目の中日川井雄太投手(29)が20日、契約更改に臨み、1100万円から大幅アップとなる2300万円増の3400万円でサイン。約3倍増、アップ率は209%だった。昨年までは1勝止まりだったが、今季は開幕から球団新記録となる11連勝を記録。ただ、球宴明けの後半戦では1勝しか挙げることができずにシーズンを終えた悔しさが残った。来季こそは1年を通して戦える体をつくり上げる。(金額は推定)

 大幅アップを勝ち取った。1時間の交渉を終えた川井は「思ったよりは厳しかった。11連勝を評価してほしかったが、11勝の評価だった。後半は貢献していませんから。5連敗という形で終わったのでそこが悔しいですね」と複雑な表情を浮かべた。決して満額回答とは言えないものの、2300万円増の3400万円はアップ率209%。左腕が今季、強烈なインパクトを残したことを物語っていた。

 去年までプロ1勝だった左腕は今季、変身を遂げた。開幕から球団新記録の11連勝をマークすると、6月には月間MVPを初受賞。日曜日の登板が多かったことから「サンデー川井」の呼び名も中日ファンに定着。7月には監督推薦で球界のスターにまじって球宴にも出場した。「心機一転という気持ちで臨んだシーズンだった」。今季は名前を進(すすむ)から雄太(ゆうだい)に改名して臨んだ5年目は、まさしく別人のような活躍ぶりだった。

 本人の希望額とは多少の開きがあったが、209%のアップ率は誇れる数字だ。06年に9勝を挙げた佐藤充は川井と同じく、アップ率209%だった。今季2冠に輝いた主砲ブランコは2700万円から1億6000万円に昇給。アップ率は493%だった。前年とのギャップを表した数字。開幕からの衝撃を与えた川井も球団から高い評価を受けた証拠だろう。

 もっとも、継続して成績を残すことが課題になる。今季は後半戦で1勝しかできずに5連敗のまま終わった。クライマックスシリーズ(CS)で登板することもなかった。「下半身に疲労があったと思う。(後半戦は)上半身だけで投げてしまっていた。1年間、しっかり投げられる体を作りたい。ああいうところ(CS)でも投げてみたい」。プロ野球の世界では継続して成績を残さない限り、一流とは言われない。そのことは川井が一番分かっている。来季以降が、左腕にとって本当に勝負になる。【桝井聡】