29日のWBC世界フライ級王者内藤大助(宮田)と同級3位亀田興毅(亀田)の前日計量が28日、都内で行われた。当日のテレビ中継を実況するTBS土井敏之アナウンサーは、2人の様子を見ながら「いよいよですね」と語った。

 07年10月の内藤対大毅戦では、TBSに「亀田びいきだ」との苦情が殺到した。その実況は担当していなかった土井アナが、そこから始まった内藤と亀田家の因縁に終止符を打つ今回の実況を担当する。苦情が来ないように実況するかと問われた土井アナは「それをびびったら、しょうがないでしょ」と語気を強めた。

 視聴者に世紀の一戦の興奮を公平に伝えるべく、今までにない方法で実況することも考えている。「通常は『1回亀田、2回内藤…』って主語を変えて、試合前に取材したコメントなどを伝える。でも、動きだけを見て伝えようかとも考えているんですよ。それも、どちらかに肩入れしない予防策にもなるかな」。

 世界戦12試合の実況を経験するベテランは内藤を07年7月から、興毅を05年8月から担当してきた。「シンパシーをお互いに感じていますし、もやっとするものはあります」と複雑な心境を吐露しつつ「席に着けば感情なんてない」と言い切った。「視聴者には(因縁など)すべて忘れてリング上だけ見てほしい。そういう導き方をしたいですね」と実況アナも運命の一戦に向け気合十分だ。