関取最年長で元関脇の十両嘉風(37=尾車)が秋場所5日目の12日に日本相撲協会へ引退届を提出し、角界にもショックが広がっている。

5日目の取組後、支度部屋で「嘉風引退」を知らされると、ほとんどの関取が目を丸くしていた。年齢の近い琴奨菊は「本当にいいアドバイスをくれるんだよね。『自分を貫き通せ。(周りの意見は)全部聞き流せ』とか、なかなか言ってくれる人いないよ」。大関復帰を目指す貴景勝も影響を受けた1人だ。「自分がベラベラしゃべるものじゃない。軽くなっちゃうから」と前置きした上で「30代で真っ向勝負。自分も嘉風関の押し方をまねしたこともある」と打ち明けた。初めて幕内上位に上がったときは「上位の先入観にとらわれるな」と言葉をもらったという。幅広い年代からの支持が、影響力の強さを感じさせた。

【佐藤礼征】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)