待ちに待った幕内デビューになる。九州場所で自己最多の11勝を挙げた王鵬(21=大嶽)が、来年1月の初場所(9日初日、東京・両国国技館)で新入幕を果たした。「昭和の大横綱」大鵬を祖父に、元関脇貴闘力を父に持つサラブレッドは18年初場所の入門前から注目を浴び続けていたが、気負う様子はない。「自分がどんな人間であれ、祖父の名前で応援してくれる人はいる。自分はすごくありがたいなと思っている」。自らを客観視しつつ、大きなモチベーションと捉えて力を磨いてきた。

11月の九州場所では自己最多11勝の好成績。得意の突き押しを組み止められても、構わずに前へ出た。初日からの9連勝は自己最長。「9連勝できたのは自信になった。相手も全然変わるけど、集中力が続けばいい相撲も続く」と自信を深めている。

同じ“栄OB”の存在が大きな刺激になっているという。幕下時代は19年夏場所から埼玉栄高の3学年先輩、大関貴景勝(25=常盤山)の付け人を務めた。「貴景勝関の付け人を務めさせていただいて、すごい勉強になったし、すごく自分のためにもなった」。1年前の11月場所では、高校の同級生でチームメートだった琴勝峰(現十両)が結びでその貴景勝と対戦。当時幕下筆頭だった王鵬は、複雑な思いで取組を見守った。「悔しいの前に、すごいなと思ってしまった。これでそれじゃダメだと思った。琴勝峰関に追いつけるように、場所で取りたいなと思った」。先輩、同期の活躍を発奮材料に変えてきた。

その埼玉栄高時代の恩師で、相撲部の山田道紀監督(55)は「まだまだポテンシャルは十分出し切っていない。まだまだ体ができあがっていない」と期待する。191センチ、181キロの恵まれた体格ながら、伸びしろはたっぷり。幕内最年少の大器が、新年最初の場所でどれだけ輝きを放つか注目が集まる。

【佐藤礼征】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)