関脇大栄翔(28=追手風)は今春まで日大大学院の総合社会情報研究科に通い、相撲部屋制度に通じる同族経営、ファミリービジネスについて修士論文を書き上げた。

以前その内容を問うと、次世代に相撲文化を継承するための提言を40ページにわたって論じたことを教えてくれた。

指導に当たった加藤孝治教授によると、論文では国内スポーツ界における大相撲を位置づけた上で、相撲部屋の経営手法や協会の制度的な課題を分析。大相撲の文化が活性化するために必要なことを提言した。「特徴的なのは、自分が相撲と出合った時の経験を交えて論じたこと。若い人たちが相撲と触れ合う機会をどうやって作っていくかという問題意識が高かった。たしか量的に5万字くらい書いていた」と懐かしむ。

「20代後半という現役バリバリで活躍している時に大学院へ通った経験は大きな意義」と話す加藤教授は、今も大栄翔と連絡を取り合うなど交流が続く。殊勲賞を獲得した先場所後に連絡を入れると、お礼の言葉が返ってきた。前半戦で出遅れたが、巻き返しを図る今場所。大関とりの足固めを目指す教え子へ「文武両道の『文』が修了したので、今度は『武』で頑張ってほしい」とエールを送った。【平山連

21年4月21日「日本大学校友会大阪支部」による化粧まわし贈呈式に出席した大栄翔(左端)
21年4月21日「日本大学校友会大阪支部」による化粧まわし贈呈式に出席した大栄翔(左端)