ウクライナ初の幕内力士となった獅司(27=雷)には雷親方(元小結垣添)ともう1人、“師匠”がいる。おかみさんの栄美さん(43)。女子相撲で15歳で制した全日本で3度の優勝を飾り、名門・日大相撲部の女子部の“初代”を担った。心身両面の支えで幕内力士が育った。

栄美さんは獅司の奇異な行動が気になった。「稽古とちゃんこと寝る以外は部屋にいない。どこにいるか探したら公園にいる。(相撲界独特の)決められた空間での生活がイヤだと。何時間もウクライナの家族に電話。あんな立派な体をして『ママ、ママ』って本当に心配でした」。「(部屋の)みんなファミリーだよ」と言ったが、本当の家族とは違うと教え込んだ。

雷親方は「技術的なこともね。向こう(おかみ)の方が詳しいから」。右四つだった獅司だが、約1年前の稽古中に左上腕部の筋肉を断裂した。左上手で引きつけられない獅司に左四つを教えたのが現役時に同じ型だった栄美さんだった。

「あまりに(相撲が)へたくそだったんで」と栄美さんはド直球に言う。おかげで幕内の土俵に上がる今がある。4日目を終え2勝2敗。2人の“師匠”に支えられ勝ち越し、「うれシシ」に進む。【実藤健一】

2013年6月1日の断髪式を終えて、髪形を整える元小結垣添の雷親方と、見守る妻栄美さん
2013年6月1日の断髪式を終えて、髪形を整える元小結垣添の雷親方と、見守る妻栄美さん