ボクシングWBO世界スーパーフライ級王者井岡一翔(32=志成)が31日、東京・大田区総合体育館で同級6位福永亮次(35=角海老宝石)との4度目の防衛戦に臨む。今年も日本ボクシング界の大トリを務める井岡にとって10度目となる大みそか決戦だ。新型コロナウイルス変異株「オミクロン株」の影響で、新規外国人の入国が原則禁止となって11月に発表されたIBF世界同級王者ジェルウィン・アンカハス(29=フィリピン)との統一戦は12月3日に中止となったが、井岡は区切りの大みそかマッチに気持ちを高揚させる。
「自分が大みそかのリングに立ってボクシングというものを盛り上げたい気持ちがある。大みそかに自分が試合するというのが、周囲の1年の締めくくりになっている。みんな大みそかにやれることを喜んでくれている」。福永との4度目防衛戦の決定を素直に歓迎した井岡は、過去に数多くの思い出深いドラマを大みそかに繰り広げてきた。「井岡の大みそか」をトピックで振り返ってみる。
◆秒殺KO WBA世界ミニマム級王者として2度目の防衛戦として11年にヨードグン・トーチャルンチャイ(タイ)と拳を交え、1回1分38秒、TKO勝利。右ボディーでダメージを与え、左フックでとどめを刺した。大みそか第1戦での秒殺KO劇が大きなアピールとなった。
◆世界2階級制覇 12年は前WBA世界ライトフライ級暫定王者ホセ・ロドリゲス(メキシコ)との同級王座決定戦に臨み、6回2分50秒TKO勝ち。1回に右フックでダウンを奪取。6回に右ストレートでダウンを追加し、さらに右ストレートで仕留めた。
◆無敗対決 13年、WBA世界ライトフライ級王者の3度目防衛戦としてフェリックス・アルバラード(ニカラグア)を3-0の判定で撃破。現IBF世界同級王者でもある強敵アルバラードとの打ち合いを制した。
◆返り討ち 15年は、4月に2-0の判定で下した前WBA世界フライ級王者フアン・カルロス・レベコ(アルゼンチン)との再戦。11回1分57秒TKOで、2度目の防衛に成功。史上最速で3階級制覇を成し遂げた前回対決に続き、レベコを返り討ちした。
◆引退会見 17年の大みそかに横浜市内で記者会見し、引退表明。TBS系列で生中継される中で「目標である3階級制覇を成し遂げた。5度目の防衛戦(17年4月)の前に引退を決意した。今日をもって引退します」と話した。
◆大みそか初黒星 18年7月、現役復帰を表明。同年大みそかはマカオで、4階級制覇を懸けてドニー・ニエテス(フィリピン)とWBO世界スーパーフライ級王座決定戦に挑んだものの、1-2の判定負け。
◆注目の日本人対決 20年には、元世界3階級制覇王者田中恒成(畑中)との日本人対決。2度のダウンを奪い、8回1分35秒TKO勝ちを収めた。年間最優秀試合に選出された勝負となったものの、この試合のドーピング検査で井岡の検体から陽性反応を示して騒動に。その後、日本ボクシングコミッションの不手際で起こった「偽陽性」として潔白が証明された。
01年の「INOKI BOM-BA-YE」「Dynamite」を皮切りに21年連続21回目となるTBSの大みそか恒例の格闘技中継。11年から年末のお茶の間に登場した井岡は、ほぼ半分を占める。「(大みそかに)自分が試合やるというのはうれしかったり、責任感など、いろいろな気持ちを抱えてリングに上がっている」と振り返った井岡は30日の前日計量で、こう言った。
「この10回目で今までやってきたことを試合で(見せる)。良い試合というか、何か伝わる熱い試合をして、少しでも盛り上げられれば」。
10度目となる今年の大みそか決戦のリングに立つ井岡は、福永との日本人対決でどんな勝負を繰り広げるのか。